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月刊「現代農業」/2020/3/5 12:10
http://www.ruralnet.or.jp/syutyo/2020/202004.htm

「人新世」という時代をどう生きるか/アメリカ農村、SDGs、人新世をめぐる3新刊から

 目次
◆アメリカ農村の苦悩は対岸の火事ではない
◆地域版SDGsの実践で「グローカル」な世界を
◆「人新世」の時代の農業・地域の生き方

 TPPと東日本大震災・原発事故で幕を開けた2010年代は、激動の10年であった。この間、規制改革会議や安倍官邸農政のもと、家族農業軽視や農協攻撃が強まり、一方では、昭和一桁世代のリタイアが進み、また気候変動による農業、農村の被害も頻発した。そんな激動の中で、農家は持ち前の自給力・自治力を発揮し、田園回帰の流れも生かして農家とむらを守ってきた。

 これまでの10年を激動期とすれば、スタートした2020年代を「転換期」にしたいと思う。世界も日本も地域も、人類史的な課題を動因に転換へのベクトルを強める。そんな人類史的な課題を地球的・世界的な目と地域の目をもって浮き彫りにし、転換への道を指し示すスケールの大きい単行本がこの2〜3月に3点、農文協から発行される。

アメリカ農村の苦悩は対岸の火事ではない

 1冊目は出来たての新刊、『アメリカ農業と農村の苦悩ーー「トランプ劇場」に観たその実像と日本への警鐘』。JA全中ワシントン連絡事務所長、FAO日本事務所次長、日本農業新聞常務取締役、JC総研理事長などを務め、米国農業を40年余りにわたって調査・研究してきた薄井寛さんの渾身の書き下ろしだ。

 ■極端な二極分解と農民の生活苦

 薄井さんは「終章」でこう記している。

「(本書では)トランプ大統領の誕生をもたらしたアメリカにおける地方と都市の分断に焦点を当て、その背景にあったとされる、輸出志向型の大規模農業の促進による家族経営農家の衰退と、それに起因する地方経済の空洞化の問題について多くのページを割いた。そこでは、“ワシントン”や都市のエリートたちから忘れられてきた農家や地方の人びと、そして白人工場労働者たちに対し、ドナルド・トランプが積極的に接近し、アメリカ中央部の多くの州で接戦を制した実態について詳しく述べた。トランプ当選に大きく貢献したのは、“ワシントンのおごり”とそれに対する“忘れられた人びと”の反発と憤りだったのだ」。

 本書によると、アメリカの家族経営農家数は1959年の371万戸から2017年の204万戸へと45%減。米国農業の中核とも象徴的存在ともいわれる中規模農家=経営規模180〜500エーカー(約72〜200ha)も減り続け、この10年間でも約43万戸から37万戸へ。その結果、戸数では農業経営体全体の3・8%(約7万7000)にすぎない企業的大規模農場(年間販売金額100万ドル以上)の農業生産額が全体の69%を占めるに至っている。

 この極端な二極分解のなかで、さらにいわゆるラストベルト地帯(さびついた工業地帯)の出現で兼業所得を得る機会が減ったことも重なって、地方の中小農家の多くが離農・離村せざるをえない状況が続いた。本書では、こうして進む農村の過疎化、空洞化、地域社会の崩壊の状況をリアルに追っている。

 商店も次々つぶれてしまい、衣類や日用品はもとより、農業州でありながら食料ですら100kmも150kmも離れた大きな町へ車で片道1時間以上かけて1週間分まとめ買いしてこなければならない人々。幼稚園から高校、病院、図書館など公共施設もなくなり、地域の人びとの心のよりどころでコミュニティセンターの役割も果たしていた教会さえなくなってしまった村も少なくない。

 深刻なのは、農民の自殺率が極端に高くなってきていること。全米の自殺死亡率は年々増加しているが、その中でも農民の自殺率は人口10万当たり84・5人。16歳以上の平均は16・1人なので、じつに5・2倍もの高水準だ。

 ■アメリカの今と日本の今、共通の過ち

 拡大する格差から生じる分断と、人種差別主義によって政治的に深められた亀裂に苦悩するアメリカ。しかしこれは対岸の火事ではない。

 トランプ大統領の誕生で未曾有の混乱と危機に直面するアメリカの今と日本の今には共通の過ちがあると薄井さんはいう。それは、国家と社会にとって不可欠な要素、すなわち、各セクターの均衡と調和の実現という長期ビジョンのもとに農業・地域政策を推進することを、してこなかったことだ。

 食料自給率が下げ止まらないなか(18年、37%)、農産物の輸出に農業の生き残りの可能性があるかのように喧伝しながら、規模拡大・企業化を軸とする農業政策や、農村の過疎化と地方経済の空洞化に抜本的な歯止めをかけられない都市優先の地域政策が、何らの代替案も検討されることなく進められている。一部の輸出産業やIT企業の発展を優先するような政策が今後も推進されていくなら、“ルーラル・ジャパン”もまた今のアメリカの地方のように“忘れられた存在”という事態へ追い込まれるとして、薄井さんはこう述べる。

「日本の政治・行政、そして国家を構成する各セクターの指導者たちこそ、国家と社会のバランスをこれ以上崩すことのないよう、アメリカの今を他山の石とし、数十年先を見越して農業・地域政策の抜本的変革に着手すべきである」

地域版SDGsの実践で「グローカル」な世界を

 2冊目はまもなく発行される『食・農・環境とSDGsーー持続可能な社会のトータルビジョン』。著者は、本号の「意見・異見」(308ページ)にも執筆している國學院大學教授の古沢広祐さんである。

 ■環境問題と食・農をめぐる課題の同時解決を

 研究者としての立場を超えて地球市民的なNGO活動に長年携わってきた古沢さん。かつて、ガット体制のもと日本で米の市場開放問題がとりざたされた1988年に「食糧自立国際シンポジウム」の企画の中心となった。このシンポでは、韓国、台湾、タイ、セネガルの農民、さらには輸出一辺倒の農業政策のもとで窮乏するアメリカの家族農業農民までが一堂に会し、食料自立をめざす世界的な連帯を決議した。

 このシンポは、米の市場開放問題を日本一国の視点からではなく、グローバル化による世界食料システムがもたらす家族農業の衰退と格差拡大という視点からとらえ直す運動であった(『現代農業増刊 食糧自立国際シンポ』に収録されている)。

 その運動の中心にいた古沢さんはその後、1990年代から今日までの長きにわたって、環境や食料・農業問題にかかわる国際会議に参加し、今日のSDGsに至るまでの国際的な議論をつぶさに見てきた。

 国連が2015年の総会で全会一致で採択した「持続可能な開発目標」(SDGs・エスディジーズ)では、社会、経済、環境などにかかわる17の目標が掲げられている。

 17の目標は


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