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奈良新聞/2020/6/26 12:06
https://www.nara-np.co.jp/opinion/20200626090706.html

複数の学習手段を - 編集委員 松岡 智

 新型コロナウイルス感染拡大は多方面への悪影響の一方、動きのにぶい状況を後押しもした。先進国の中で遅れ気味と指摘されていた情報通信技術(ICT)を活用した教育は、学校休業の中で学習を保障し、児童生徒の不安を和らげる目的などで一気に進んだ。
 県内公立学校でも休校中に動画の配信、インターネットサービスなどによるオンライン授業が導入された。ただし各家庭の端末、ネット環境のばらつきと対処などもあり、実質的スタートは4月半ば以降。双方向通信は健康、生活状態の確認などにとどまった。
 学校再開でオンライン授業は一時休止の状態だが、短期間の取り組みで課題も見え始めた。端末とネット環境の整備、児童生徒の視聴態度の確かめ方などは全国共通の課題として挙げられている。
 機器に関しては国のGIGAスクール構想の前倒しで、県内自治体も早期の1人1台の端末整備へ始動した。県内でも発生した受信側の機器不統一による通信トラブル、教育効果の濃淡を避けるためにもこの機を逃すべきでない。ただシステムへの習熟度が伴わなければ、十分な効果が得られず、教育格差のもとになる可能性もある。送り手側はもとより、子供たちが一人で機器を操れる技量の獲得も並行して進める必要がある。
 県内公立学校では今回、授業動画配信など単方向中心だったが、教師が児童生徒の学習態度、表情を確認するには双方向通信に行き着く。今後はそのための技術と内容、環境整備も求められる。県や市町村はオンライン授業に対する現場などへの調査も実施している。さらに細かな課題も見えてくるだろう。最初の部分での問題点解決が後の活動を円滑にする。
 学校再開後も県内の現場では、オンライン授業深化の動きは止まっていない。オンライン研修などの新形式の取り組みを通して、新たな学習方法への習熟度も高まるに違いない。併せてデジタルネーティブの保護者、生徒らの協力を柔軟に受け入れたり、学校に行きづらい児童生徒のために、ルールを設けて保存した授業動画を自由に視聴可能にすることなどもオンライン授業の普遍化、有効利用への検討材料だろう。
 新学習指導要領のスタート時期に、新たな教育の動きは負担かもしれない。だが緊急時に複数の手立てを持っていることが有利なのは、新型コロナ禍の下での異業種の処し方を見ても明らかだ。未来を担う子供たちのため、現場も周囲も歩みを止めるべきではない。


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