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茨城新聞/2020/6/2 4:05
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu&【論説】コロナ・国際秩序再構築 今こそ人類の連帯を

コロナ・国際秩序再構築/今こそ人類の連帯を

 日本では緊急事態宣言が解除されたが、世界では新型コロナウイルスの猛威が一向に衰えていない。感染の中心地は、中国から欧州、さらに米大陸に移っている。米国は感染者、死者ともに世界最多で、死者は10万人を超えた。感染者数でブラジルが米国に続く。ロシア、インドなどの感染者も急増している。
  人類共通の敵に立ち向かうため連帯が今ほど必要な時はないが、「新冷戦」の瀬戸際にある米国、中国の二大国の対立が足かせになっている。
  世界保健機関(WHO)を中国寄りと非難するトランプ米大統領はWHO脱退を宣言した。地球規模の取り組みが不可欠な感染症対策に打撃を与え、全人類を危険にさらす脱退は撤回すべきだ。
  「各国が違う対策を立て、ばらばらに対処したことでウイルスは拡大した。大国が指導力を発揮せず、国際社会は機能不全だ」。国連のグテレス事務総長はこう嘆きながら「結束と連帯が必要だ」と繰り返し訴えている。まさに同感である。
  エイズ、エボラ出血熱、新型インフルエンザなどの感染症対策では米国が指導力を示し、世界最強の対策組織といわれる米疾病対策センター(CDC)と、WHOが連携して成果を上げた。
  コロナ対策でも米国が国際協力の中心にあって科学大国の底力を発揮するよう、各国が働き掛けなければならない。11月に大統領選を控えるトランプ氏には政権の対応の遅れから国民の目をそらす狙いがあるとみられるが、WHO脱退で治療薬やワクチンの開発が遅れれば米国にもマイナスになる。
  国連は、世界の医療弱者を救わない限り感染はなくならないとして、最貧国や難民キャンプへの支援を呼び掛けている。「人間の安全保障」を外交の柱に掲げている日本は最大限の協力をすべきだ。
  コロナ禍が今後、ある程度収束した場合でも、国際秩序や世界経済は以前と相当違う形になると多くの人が考えている。
  東西冷戦終結後の約30年間、グローバル化が進んだ。世界経済は、アジア通貨危機や世界金融危機を乗り越え、高い成長が続いた。人・モノ・サービスが大量に国境を越えて行き来するボーダーレス時代が到来した。
  コロナはこの流れに激しくブレーキをかけ、歯車を逆回転させている。人は国境を越えられず、医療用マスクなど感染対策に必要な物品の輸出が多くの国で禁止された。サプライチェーン(部品の調達・供給網)も大打撃を受けた。収束後どのような形で国際秩序を築き、経済を復興させるか熟慮する必要がある。
  憎悪や差別、根拠のない情報がインターネットで拡散していることも憂慮される。トランプ氏とブラジルのボルソナロ大統領は、いずれも経済重視で、科学的根拠が乏しい発言を繰り返している。それでも両国で勇気と知識を持つ地方の知事や科学者たちが、懸命に対策を進めている。
  日本でも都道府県知事の指導力が目立つ場面が多かった。また日本の著名な科学者たちが専門領域を超えて積極的に発言し、科学への信頼をつないだ面があったと思われる。各国が手を携え、科学と事実に基づく対策を進めない限り、コロナ禍は克服できないだろう。そうした連帯に地球市民として加わりたい。
 


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