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熊本日日/2020/5/30 10:05
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1475555/

中国の香港統制/強引な手法改めるべきだ

 中国の第13期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議は、香港に国家安全法制を導入する方針を決定し、閉幕した。昨年、中国への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対して起きた抗議デモなどを抑え込み、統制を強めて治安維持対策を強化するのが狙いだ。

 国家安全法制の導入は、言論や集会の自由を制限し、香港の「高度の自治」を保障する「一国二制度」の形骸化を招きかねない。中国は強引な統治手法を改め、国内の民主化にかじを切るべきだ。

 草案説明によると国家安全法制は、「国家安全を害する行為を防止、処罰する」とし、中国政府は必要に応じて香港に「国家安全維持の関係機関」を設置することなどを明記。9月の香港立法会(議会)選挙前に施行される見通しで、選挙介入も懸念される。

 「一国二制度」は社会主義の中国に資本主義を併存させる制度。中国は1997年に英国から返還された香港に適用した。香港の憲法に当たる香港基本法は返還後も資本主義を50年間維持し「高度の自治」を認めると規定。言論、集会の自由を約束した。一方、外交と防衛は中国政府が担う。

 中国政府は国家安全法制の導入を「一国二制度を長く持続させ、香港の繁栄と安定を守る」ためだと主張。さらに昨年来の情勢について「香港独立組織と過激分離勢力がのさばり、外部勢力が深く不法介入するようになった」と欧米の「内政干渉」をけん制した。

 だが昨年11月の地方議会選挙では民主派が8割以上の議席を獲得して圧勝している。中国は多数の一般市民が「中国化」を拒絶しているという現実を直視すべきだ。

 香港基本法は、国家分裂行為などを禁じる国家安全条例を香港が自ら制定するよう規定。香港は2003年に制定を目指したが、大規模な反対運動で廃案となった。中国は今回、香港での立法手続きを踏まず全人代で制定するという、香港の頭越しの決定に踏み切った。これは「一国二制度」の否定にほかなるまい。

 香港立法会では、中国国歌の侮辱を禁じる国歌条例案の審議が約1年ぶりに再開。香港の警官隊は審議再開にデモ抗議した市民千人を強制排除し、多数を逮捕した。

 市民の間には当局の暴力的な取り締まりや国家安全法制への反発が根強い。6月上旬には、中国が民主化運動を武力弾圧した天安門事件31年や、香港100万人デモ1年の節目も迎える。抗議行動はさらに強まろう。

 米国は、香港への優遇措置を見直すなど対中報復措置の検討に入った。貿易摩擦、コロナ禍での対立も重なり、米中確執に拍車が掛かる。両国は対話に努め、平和的な解決を図ってほしい。

 香港は重要な国際金融都市であり、日本企業の進出も多い。日本政府は中国への懸念を明確に表明し、香港の「一国二制度」が堅持され、自由な政治や経済活動が維持されるよう、中国に粘り強く働き掛けるべきだ。


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