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熊本日日/2020/2/14 10:05
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1354940/

公益通報/告発者を守り抜く制度に

 企業や役所の不正を内部告発した人を不利益な扱いから守る公益通報者保護法の改正を巡り、自民党が提言を取りまとめた。

 内部通報窓口の担当者や役員に守秘義務を課し、違反者への罰則を設けるなどの内容。ただ内部通報者への不利益な取り扱いに対する罰則は明記せず、通報者保護が十分とはいえない。

 提言を踏まえ、政府は3月にも国会に改正案を提出する方針。これから消費者庁が改正案をまとめ国会で審議される中で、実態をきちんと見据え、修正に取り組む必要がある。

 自民の提言は、現役労働者のみになっている保護対象の通報者に退職者や役員を追加。従業員・職員300人以上の企業・自治体に内部通報体制の整備を義務付ける。一方で不利益扱いへの行政機関の助言、指導、勧告といった行政措置や、それに従わない企業名を公表するなどの罰則は盛り込まず、違反企業などへの刑事罰導入も見送りとなった。

 こうした中身のまま改正案が成立しても、不利益扱いにどこまで歯止めをかけることができるか、疑問と言わざるを得ない。

 保護法は2006年4月に施行され、大手企業や行政機関に通報窓口が設置されたが、不正の通報を受けた勤め先が調査に乗り出さず、通報者が報復人事で閑職に追いやられたり、処分を受けたりする例が後を絶たない。

 精密機器大手オリンパスでは、上司による取引先からの社員引き抜きを知り社内のコンプライアンス室に相談した社員が、通報内容などを上司に知らされた上、希望していない配置転換を受けた。

 社員は配転の無効確認などを求め最高裁まで争い勝訴が確定したものの冷遇は変わらず、損害賠償などを求め再び提訴。16年2月、ようやくオリンパス側が改善の取り組みが不十分だったと認め、解決金を支払うという実質勝訴の内容で和解が成立した。

 昨年8月には、京都市の児童養護施設での性的虐待に絡む公益通報で、逆に通報した市職員が記録を不正に持ち出したとして受けた懲戒処分について、京都地裁が処分取り消しを命じた。

 いずれも司法で救済されたとはいえ、訴訟に費やした労力と失ったものは計り知れない。こうした現状をそのままにしていては、不正を知っても通報をためらい見過ごすことにつながりかねない。

 保護法に通報者への不利益扱いの罰則がないことについては、内閣府消費者委員会の専門調査会が18年、行政措置導入と企業名公表の必要性を指摘したが、自民提言は大きく後退した。経済界の意向を受けてのことだろう。

 良心による告発を促すことで企業や行政機関の不正を正し、消費者や住民が受ける被害を防ぐのが保護法の目的である。これは企業や行政機関自身が早期に問題を認識し対応するためにも重要な制度だ。告発した人をしっかり守り抜き、告発がしやすい制度にしていくことが求められている。


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