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東奥日報/2020/2/14 10:05
http://www.toonippo.co.jp/articles/-/313541

「言論の府」らしい答弁を/荒れる国会審議

 衆院予算委員会は国会審議の花形とされる。その衆院予算委が、議論を通じて、より良い方針を導きだしたり、与野党がそれぞれの主張を国民に披露したりする「言論の府」とはとても言えない状況に陥っている。
 安倍晋三首相が野党側の質問にまともに答えようとしない上に攻撃的な発言ややじを繰り返し、それを正す使命がある自民党所属の棚橋泰文委員長が首相をかばう議事進行を続けているために、野党が反発を強めているのだ。
 閣僚でも、森雅子法相は黒川弘務東京高検検事長の定年延長について過去の答弁と整合性の取れていない説明しかせず、北村誠吾地方創生担当相に至っては質問自体を理解できていないと思われる答弁を続けている。
 首相は12日の衆院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美氏に対して「意味のない質問だ」とやじを飛ばした。首相のやじ自体あってはならないのだが、問題なのは質問の価値を判断している点だ。
 内閣法制局の国会での説明によると質問は権利で、それに対する首相や閣僚の答弁は義務である。首相や閣僚の発言は、質問された内容に対する答えでなければならないが、安倍首相はこの原則を無視しているように見える。
 このやじについて野党は、首相の謝罪や撤回がなければ衆院へ懲罰動議を提出する方針を決めた。首相が17日の衆院予算委で「おわび」を述べる見通しとなったとして動議提出は見送ったが、与党側は首相の謝罪について明言を避けており、事態はなお流動的だ。
 首相は4日の衆院予算委でも、桜を見る会問題を追及した立民の黒岩宇洋氏を「うそつき」と非難。12日に黒岩氏から謝罪を求められると「非生産的な、政策とは無縁のやりとりを長々と続ける気持ちは全くない」と拒否した。
 答弁側が質問の価値判断、評価を行うことを許していると政府にとって都合の悪い追及には答えなくてもよくなってしまう。質問する権利が侵され、答弁する義務を免れる状態に陥りつつあるのではないか。
 一方、森氏の検事長の定年延長を巡る答弁は、「国会答弁」の意義そのものを失わせかねない。
 立民の山尾志桜里氏が、国家公務員への定年制導入を議論した1981年の衆院内閣委員会での人事院幹部による「検察官と大学教員は既に定年が定められ、今回の定年制は適用されないことになっている」という答弁を示し、違法ではないかとただした。
 これに対し、森氏は人事院幹部の答弁の詳細を知らないとした上で「国家公務員法の規定が適用される」と答弁したが、その論拠は明言せず、その後も過去の答弁との整合性は取れていない。
 せめて議事を仕切る委員長がしっかりしていれば政府側にきちんと答弁をさせることも可能なのだが、棚橋氏はその責務を放棄している。そればかりか、答弁が不安定な北村氏の前に政府参考人の内閣府幹部に答えさせ、その後、北村氏に「説明した通り」などと述べさせる対応を連発、政府側をサポートしている。
 このままでは国会に対する国民の信頼が失われかねない。議会制民主主義が崩壊の危機に直面していることを、政府、自民党は強く認識すべきであろう。


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