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愛媛新聞/2019/12/16 8:06
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201912160025

WTO機能不全/保護主義拡大の懸念/打開を急げ

 世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きが機能不全に陥った。裁判の「最高裁」に相当する上級委員会で裁判官役を務める委員が1人だけとなり、審理に最低限必要な3人を割り込んだためだ。
WTOに不満を持つ米国が、任期切れとなった委員の補充に反対し続けてきたのが原因。委員の選任は全会一致が原則のため、定員7人の委員は減り続けた。1995年に発足して以来の異常事態である。
国際ルールに基づくWTOの判断は、これまで保護主義的な動きを防いできた。それが機能しないとなれば、一方的な関税制裁などが乱発される恐れが強まる。戦後の経済発展を支えた自由貿易体制を揺るがしかねない。国際社会は危機感を共有し事態打開を急ぐべきだ。
WTOの紛争処理は、当事者間で解決できない場合、一審に当たる紛争処理小委員会(パネル)で審理し、その結果に不服があれば上級委に上訴できる制度だ。当事国だけで紛争を解決しようとすると大国が有利になりやすい。そこで164カ国・地域の加盟の下、WTOが行司役となってルール違反の国に是正を求めてきた。法的拘束力を持つ上級委は制度の柱だ。
米国がWTOに不満を持つ背景には中国への対応がある。自由貿易の恩恵を受けながらも公正な通商ルールの整備には後ろ向きだ。自由な競争を脅かす過剰な補助金や知的財産権侵害をやめようとしない。それでもWTOは中国に踏み込んだ対応ができていない。さらに米国は上級委が与えられた権限を越えた判断を下し、審理に時間がかかりすぎているとも批判する。
WTOに課題があるのは確かだ。しかし、だからといって機能不全にさせる理由にはならない。ルールや仕組みに不満があるのなら対案を出し改革議論をリードするのが筋だ。米国からはその意思が見えてこない。
自国の利益を優先するために高関税を課し、輸入制限するのがトランプ政権のやり方だ。WTOが機能しなければ、相手国から提訴されても、上級委に持ち込めば審理されない。WTOの弱体化はむしろ好都合なのだろう。だが、超大国としてそんな身勝手は許されない。米国には協調体制を支える重い責任がある。
貿易立国の日本にとっても重要な問題だ。現在、日本はインドの鉄鋼製品の輸入規制を巡って上級委で争っている。機能停止となれば相手国に不当な措置をやめさせるのが難しくなる。半導体材料の輸出規制強化を巡る日韓の紛争も、WTOでの処理が始まり、パネルから上訴されれば影響は避けられない。
まずは審理可能な体制に戻すことが先決だ。日本は、欧州連合(EU)と連携し、米国にWTOの意義を粘り強く説くべきだ。並行してWTO改革を促す必要もある。より公正な通商ルールに整えていくために主導的役割を果たすよう求めたい。


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