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熊本日日/2019/8/15 10:07
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1152477/

終戦の日/平和を未来へつなぐ責任

 戦後と呼ばれる時代に74年の歳月が刻まれた。この間、日本は昭和、平成を経て、令和の今日に至るまで、平和国家の道を歩み、世界に確たる地歩を築いてきた。
 同じ時の流れの中で、戦争を体験した人たちは次第に減少し、いまは戦後生まれが人口の8割を超える。戦争体験の風化が危ぶまれるゆえんである。
 きょうは終戦の日。戦火の犠牲になった人々を悼むとともに、平和の誓いを新たにし、これを未来へつないでいく意義と責任をあらためて認識したい。
 語り継ぐのが使命
 熊本の戦跡と遺構をたどるバスツアーで先日、菊池市泗水町に旧陸軍菊池(花房)飛行場の跡を訪ねた。現在は住宅などが立ち並ぶ跡地を歩くと、戦時からの姿をとどめる給水塔や燃料庫、格納庫跡などが点在する。
 かつて格納庫を支えていた高さ3メートル余の頑丈なコンクリート製の基礎部分には、米軍機の空襲で受けた機銃掃射の痕がいくつも残っている。弾痕は中指の第二関節あたりまでがすっと入るほど深い。それだけの破壊力があったということだ。硬いコンクリートをも穿[うが]つ機銃弾が無数に降ってくる-。そんな光景を想像し、思わず身震いがした。
 菊池飛行場は同町富の原地区の台地に1940年に開かれた。県内最大の規模を誇り、実戦部隊とともに、飛行機の操縦や通信の訓練施設が置かれた。しかし、45年5月13、14日に大規模な爆撃を受け、36人の少年飛行兵ら多くの命が奪われる悲劇の現場となった。
 市民有志でつくる「花房飛行場の戦争遺産を未来につたえる会」が遺構の保存活動や資料収集を進めている。5年前には町内の孔子公園の一角に資料館「菊池飛行場ミュージアム」を開設した。資料の整理や展示をはじめ、運営はすべてメンバーが手弁当で担う。
 会長の倉沢泰さんは宮崎の高射砲隊で終戦を迎え、同飛行場跡に開拓団として入植した。98歳の今も、自らの戦時戦後体験や菊池飛行場の歴史の語り部役を務める。「戦争のむなしさ、愚かさを知ることで平和の大切さが分かる。そのために語り伝えることが私たちの使命」との思いは強い。
 安寧を脅かす動き
 戦火による犠牲とともに、戦争へ突き進んだ歴史の教訓もしっかりと胸に刻んでおきたい。
 戦後の日本が平和主義を国家の機軸としてきた根幹に憲法があることは言うまでもない。平和主義とともに国民主権、基本的人権の尊重をうたい、民主主義を根づかせた。なかでも一貫した専守防衛の立場は、今日の平和を考える上で重要な要素である。
 その意味で、憲法改正に対する安倍晋三首相の前のめりの姿勢は気掛かりだ。9条への自衛隊明記や緊急事態条項の新設などを主張し、先月の参院選後には、改憲推進の考えを強調した。
 しかし、共同通信の世論調査では、憲法改正を優先課題としたのは6・9%にとどまり、安倍政権下での改憲反対が56%に上った。国民が強く求めているわけでもない改憲をなぜ急ぐのか、何をどう変えようとするのか。論議に関心を持ち、疑問があれば声を上げていくことが大切だ。
 世界に目を転じると、紛争は後を絶たない。共存と安寧を妨げるような大国の動きも目立つ。行き過ぎた自国第一主義の中での貿易摩擦や条約廃棄、他国や他民族への蔑視、迫害…。膨らむ争いの芽を速やかに摘み取らなければならない。そこには塗炭の苦しみを知る日本だからこそ発揮できる英知と役割があるのではなかろうか。
 ここも戦場だった
 戦時下の熊本に話を戻したい。菊池飛行場が空襲によって壊滅した1カ月半後の7月1日夜、熊本市内を中心に大規模な焼夷[しょうい]弾攻撃に見舞われた。さらに8月10日の早朝から、再び猛烈な爆撃を受けた。この2回の熊本大空襲による死者617人、傷者1317人、被災家屋は約1万2千戸に上る。2回目の大空襲から5日後、玉音放送があり、戦争は終わった。
 くまもと戦争遺跡・文化遺産ネットワークの代表で、バスツアーを企画した高谷和生さん(64)は言う。「熊本も戦争末期に戦場となる痛恨の歴史があった。平和に思いを致してもらうためにも、史実をもっと広く伝えなければ」
 過去の歴史から目をそらさず、戦争の記憶と教訓を次代へ受け継ぐ-。それは、戦争遺跡の保存を含め戦争を学ぶ基盤を整えることであり、平和を脅かす動きをきちんとただしていくことであろう。悲惨な戦争を踏まえて導き出された平和な「戦後」がこの先もずっと続くよう、今を生きる世代の責務を果たしたい。


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