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熊本日日/2019/8/2 10:06
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1137989/

概算要求基準/財政再建の具体策提示を

 政府は、2020年度予算編成のルールを示す概算要求基準を閣議了解した。第2次安倍政権の発足以降、7年連続で歳出上限を設定せず、一般会計の要求総額は100兆円を上回る見通しだ。

 19年度に続き、10月からの消費税増税に対応する景気対策も予定している。個人消費は国内総生産(GDP)の約6割を占める。増税による消費不振に対しては十分な目配りが必要だ。しかし、日本経済は緩やかな成長が続いており、景気の底割れが懸念されるような状況にはない。

 危機的な状況に陥る可能性がない限り、政策対応の規模にはおのずと限度があろう。20年度予算編成は、社会保障政策の見直しと並行し、財政再建に向けた具体的な取り組みを本格化する機会とすべきである。

 概算要求基準では、各省庁が公共事業などの裁量的経費を10%削減、人件費など義務的経費も圧縮する。そうして削った分について、政府は例年通り、成長戦略などの重点政策を優遇する「特別枠」の財源に充当。合計4兆円超の上積み要求を認める。特別に優遇される以上、各省庁とも真に成長戦略と言えるような政策に知恵をしぼり、予算査定に当たる財務省も厳しく吟味をすべきだ。

 歳出の3分の1を占める社会保障費を巡っては、高齢化に連動した自然増を、6千億円だった19年度の水準より約700億円少ない5300億円程度と見積もった。戦後の出生者数の変動で、医療費を押し上げる後期高齢者の増加ペースが一時的に鈍るためだ。

 しかし、団塊の世代が75歳以上になり始め、社会保障費が急増する22年が迫っている。制度持続のためには抜本的な改革が急務だ。政府、与党には、参院選で争点になった年金の給付水準や、後期高齢者の医療費窓口負担など痛みを伴う問題に正面から向き合う責任がある。

 財政再建のためには、言うまでもなく歳出を歳入の範囲内に抑える必要がある。目安となるのが、国と地方の税収など基本的収入と政策的経費のバランスを示す「基礎的財政収支」だ。1990年代から赤字続きで、政府は25年度の黒字化を目指している。

 内閣府が公表した最新の試算によると、25年度の基礎的財政収支は2兆3千億円の赤字となり、1月の前回試算より赤字が2倍に膨らんだ。黒字への転換時期も前回より1年遅れて27年度となる。

 米中貿易摩擦を背景にした中国経済の減速など直近の状況からGDP成長率を下方修正し、税収の下振れを反映した結果、財政収支の悪化につながった。それでも、現状1%台のGDP実質成長率を23年度2%、名目で3%台と見込んでの数字である。

 安倍晋三首相は参院選前、10月に消費税率をアップすれば、10年程度は引き上げる必要はないと表明した。経済成長による税収増を当て込んでいるようだが、楽観的過ぎるのではないか。逃げずに議論しておかなければならない。


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