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熊本日日/2019/7/29 10:06
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1133256/

ハンセン病問題の啓発/加害責任を明確にすべきだ

 ハンセン病元患者家族の差別被害を認め、国に損害賠償を命じた熊本地裁判決は国の控訴見送りによって確定。安倍晋三首相は24日、「心から深くおわび申し上げます」と原告団に直接謝罪した。
 首相は訴訟に不参加の元患者家族も含めた補償に向けた法整備を明言。今後は補償の枠組みづくりなどが焦点となるが、偏見差別を根絶し実効性のある救済につなげるためには、首相が併せて約束した啓発活動の強化が欠かせない施策となる。
 国策が偏見を形成
 その啓発活動で最も重要なのは、近現代のハンセン病に対する過酷な偏見差別は、長年にわたる国の強制隔離政策によって形成されたものであることを自覚し、加害責任を明確にした上で行わなければならないということだ。
 1907年に制定された「らい予防に関する件」から始まった隔離政策は、31年制定の「らい予防法(旧法)」で全患者を対象とし、特効薬が導入された戦後も53年制定の「らい予防法(新法)」で継続された。また、48年制定の「優生保護法」では、ハンセン病患者に対する断種・堕胎も合法化された。
 96年の「らい予防法」廃止に至るまで続いた隔離政策によって、感染力が強い上に、かかりやすい体質が遺伝する恐ろしい病気という誤った情報が国民に浸透し、それが患者本人だけでなく家族まで広く偏見差別の被害を受けるという社会構造をつくったのである。
 隔離政策に触れず
 しかし、「らい予防法」廃止後や、隔離政策を違憲と断じた2001年のハンセン病国賠訴訟熊本地裁判決後も、国は自身の責任をできるだけ矮小[わいしょう]化しようとする姿勢を固持。それは一連の啓発活動でも如実に見られた。
 例えば、03年に起きた国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(合志市)入所者に対する宿泊拒否事件を受けて、法務省が作成した啓発パンフレットやチラシでは、隔離政策には一切触れていなかった。また、熊本地方法務局が主催した当時のパネル展示でも差別が長く続いた理由として「国民が無知だったから」と記載していた。
 こうした隔離政策の影響を隠し国民の側に責任を転嫁するような国の姿勢について、識者からは「自身の責任を棚上げするような啓発では理解は得られず、かえって国民の反発を招く」と指摘されていた。事実、この事件では、恵楓園の入所者に対しても誹謗[ひぼう]中傷が寄せられるという二次被害を招く結果となった。
 家族訴訟でも国は、恵楓園入所者を親に持つ子どもの就学が拒否された黒髪校事件(53~55年)について、「特別にハンセン病への偏見の強い地域における例外的事象」と、熊本への偏見を感じさせるような主張まで展開。こうした姿勢を見れば、国による隔離政策の責任の矮小化は、今なお続いていると言わざるを得ない。
 国がこれまでの姿勢を改めることがなければ、国民の理解は依然、深まることはなく、元患者家族が安心して暮らせる社会をつくるという救済の本来の目的も果たされないだろう。今後、設けられる国と家族との協議の場では、宿泊拒否事件などでの教訓を踏まえ、啓発内容にも当事者の意見を十分に取り入れてもらいたい。
 各界も自省が必要
 国とともに、県などの自治体行政や医学界、司法界など各界も、隔離政策の一翼を担ってきた責任を改めて自覚すべきだ。過去にハンセン病への偏見差別をあおるような報道を行ってきた私たちマスコミもその一員である。その苦い経験を深く胸に刻み今後、偏見差別根絶の役割を積極的に担っていくことで、自省の証しとしたい。


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