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山陰中央新報/2019/7/12 12:08
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1562895368123/index.html

参院選・外交、安保/問われる「米国傾斜」

 「自国第一」を掲げ、国際協調に背を向けるトランプ米大統領の振る舞いによって、世界は軸を失い、大きく揺らいでいる。その大統領と親密な関係を築いてきた安倍晋三首相の「地球儀俯瞰(ふかん)外交」も曲がり角に直面しているのではないか。
 言うまでもなく、日本の外交、安全保障政策の基礎は、国連中心の国際協調主義と、日米同盟だ。異端の指導者との「蜜月」は後者に貢献したとしても、米国と中国、ロシアなどが繰り広げる激しいパワーゲームを目の当たりにすれば、前者に逆に作用しかねない危うさをもたらす。
 その意味で参院選は安倍外交の総括も欠かせないテーマだ。日本の立ち位置を活発に議論してもらいたい。
 先の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)は、いみじくも安倍首相が「対立ばかりが強調されがちな中にあって共通点や一致点を見いだしていく」と語ったように、地球温暖化対策のパリ協定や貿易を巡り米中、米欧の溝を埋めることはできなかった。
 自民党は公約の第一の柱に「世界の真ん中で力強い日本外交」「地球規模の課題解決に向け、世界をリードします」と打ち出す。ならば双方の橋渡しをして歩み寄りを促すのが議長国の役割ではなかったのか。
 米国は大統領選の本格化につれ内向き志向が一段と強まるのは避けられそうにない。「正常な軌道に戻った」と自賛する中国との関係をどう生かしていくのか。対立の緩和に向けた外交力が試される。
 順調に映る対米関係も正念場だ。参院選後には、大統領が「大きな発表」と予告する貿易交渉の大詰めを迎える。安倍首相が「強固な同盟」とアピールする日米安全保障体制も、これまで日本の立場を説明してきたというにもかかわらず、大統領は日米安保条約に不満を示し、見直しに言及する。
 貿易交渉を有利に運ぶ常とう手段と軽視するわけにはいかない。認識をただした上で、野党が主張する地位協定の改定も排除せずに、冷静に日米安保を話し合うことが求められている。
 知事選、県民投票、衆院補選など、「辺野古ノー」の民意を何度も突き付けられながら、一顧だにせず強行する米軍普天間飛行場移設問題への対応も問わなくてはなるまい。ずさんな調査が発覚した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の秋田、山口への配備も同様だ。
 浮かび上がるのは既成事実化である。安全保障は国の専権事項と、政権は言いたいのだろうが、地元の理解を得るための努力があってこそのものだ。一方、野党は辺野古移設を批判するが、「県外」を訴えた旧民主党政権が、苦悩の揚げ句、断念した過去は記憶に新しい。具体的な「代案」を提示すべきだろう。
 北方領土問題を巡る対ロシア外交も、安倍首相らは「固有の領土」を封印、「2島返還」に転換したようにみえる。しかし、明確な説明もなく、交渉は停滞する。
 ここまで、トランプ大統領への「抱きつき」戦略が際だった安倍外交。だが世界経済や地域の安定、地球規模の問題への対処には、米国傾斜では限界があるのは明らかだ。協調という確固たる信念を持ち関係国と連携していく重層的な外交が不可欠だろう。


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