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神戸新聞/2019/7/12 6:06
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201907/0012507052.shtml

年金不安/与野党で結束し「安心」を描け

 参院選の争点として、急浮上したのが年金問題だ。
 金融庁報告書の「2千万円問題」が引き金となり、政府が「100年安心」とうたう公的年金制度への、国民の不安が一気に高まった。政権批判のボルテージを上げる野党に対し、与党は「具体論もなく、不安ばかりをあおる」と反論する。
 少子高齢化で年金の受け手が増え、負担する現役世代の数が減っていく構造は一朝一夕に変えられない。厳しい現実を直視し、持続可能な社会保障の議論を深める必要がある。
      ◇
 日本の公的年金は、現役世代が負担する保険料で老後世代の給付を賄う「仕送り方式」だ。
 制度の破綻を避けようと、2004年の年金改革で、現役世代の減少や平均余命の伸びに合わせて給付水準を目減りさせる「マクロ経済スライド」と、保険料率の上限設定を導入した。
 政府は年金の「安心」とは制度の持続性を指す言葉だと説明する。だが制度持続は当然の話である。国民は、負担に見合った給付を受けられると実感できることに安心を求めている。
 麻生太郎金融担当相は、自ら有識者の審議会に諮問した報告書を「誤解を招く」などとして受け取らなかった。実態に向き合おうとせず、制度の持続を強調するだけでは国民の不安は解消しない。
給付と負担の均衡は
 参院選公約で、自民、公明両党は厚生年金の適用範囲拡大や、働く高齢者の給与に応じて年金額が減る在職老齢基礎年金の見直しなどを掲げた。年金の担い手を増やす狙いがある。
 一方、立憲民主党は最低保障機能の強化を掲げ、国民民主党は与党が示す低所得者への給付金上積みを主張する。共産、社民はマクロ経済スライドの廃止を、日本維新の会は自分で積み立てた保険料を老後に受け取る方式への転換を訴える。
 財源をどう確保し、給付と負担のバランスをいかに保つか。各党は声高に批判し合うのでなく、冷静な議論を通じて有権者の疑問に答えねばならない。
 学ぶべきは、21年前に年金制度を刷新したスウェーデンだ。与野党の代表らが7年かけて議論し、基礎年金をベースにした日本同様の2階建て方式を、最低保障と所得比例の組み合わせに改めた。
 社会保障が手厚い分、消費税率は25%と高い。関西福祉大学(赤穂市)大学院社会福祉学研究科長の藤岡純一教授は「日本と違い議会の解散がほとんどなく、長期的に歳出を抑制する財政改革なども超党派で熟議を重ね実践している。その結果、国民は高福祉・高負担を受け入れている」と分析する。
 日本でも12年、当時政権を担っていた民主党と野党の自民、公明が「社会保障と税の一体改革」で合意した。基礎年金は半額を税で支えることなどを決め、その財源として消費税率を10%まで引き上げると明記した。
 その後、政権に復帰した安倍晋三首相は増税を2度先送りし、教育無償化などへの使途変更を衆院解散の大義名分に掲げた。合意時の閣僚だった立民の枝野幸男代表までも、参院選前の党首討論会で「(合意が)結果的に間違いだった」と述べた。
 政権交代したとはいえ、十分な説明もなく政党間の合意を覆し、選挙のたびに与野党が社会保障を巡って争う。これでは国民の「安心」は築けない。
2040年に備えを
 「社会保障と税の一体改革」の主眼は、団塊の世代が後期高齢者となり社会保障費が急増する「2025年問題」への対応にあった。
 高齢化がピークとなる40年には、65歳以上が人口の3割を占め、現役世代1・5人で1人の高齢者を支える時代が来る。
 今年は5年に1度、経済成長や人口変動が年金に与える影響を試算する財政検証の年にあたる。前回14年は、名目1・6%成長の標準的なケースでもマクロ経済スライドにより43年度には現役世代の収入の50・6%しか受け取れない結果が出た。
 政府は今回、年金の70歳支給開始や厚生年金の適用範囲拡大などを行った場合の試算もしている。安倍晋三首相は年金制度の財政基盤は安定していると強調する。結果を速やかに公表し、負担と給付の見直しの議論に生かすべきだ。
 制度の抜本的改革も忘れてはならない。
 スウェーデンの年金は全国民共通だが、日本は厚生年金と国民年金に分かれ、支給水準も大きく違う。日本では働き方が老後の暮らしを左右するのが現実だ。「非正規雇用の増加など社会の変化に対応できていない」と藤岡教授は指摘する。
 年金改革は緻密な議論が必要だ。移行期間も要る。具体的な検討を急ぐべきだ。
 少子高齢化が加速する中、安心して老後を迎えられる年金制度を築き直すことは与野党を超えた政治の課題である。参院選で建設的な政策論争を展開し、新たな社会保障の姿を描く出発点としなければならない。


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