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熊本日日/2019/7/6 12:05
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1105293/

日米安保見直し発言/認識正し、本質的議論を

 トランプ米大統領が日米安全保障条約の見直しに言及した。「米国にとって不公平な合意だ」との主張だが、正確な認識に基づいておらず、看過できない。
 戦後日本の安保政策の基軸となってきた同条約に関わる、極めて重大な現職大統領の発言である。政府はトランプ氏に認識を正すよう求めていく必要がある。
 トランプ氏は、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)後の先月29日の記者会見で、「日本が攻撃されたら米国は日本のために戦わなくてはならないが、米国が攻撃されても日本は戦わなくてもいい。不公平だ」と述べた。「条約破棄は全く考えていない」としたものの、一方的発言と言わざるを得ない。
 1960年改定の日米安保条約は、日本有事の際に米国が日本を守ると義務付ける一方、日本が極東の安定確保のため米軍に基地を提供すると定めている。双方のリスクとコストは非対称的だが、在日米軍基地は、世界に展開する米軍の戦略的拠点として米国の大きな利益になっている。
 日本は在日米軍駐留経費や騒音対策費など毎年約6千億円を支出。騒音や事故、米兵による犯罪など経費に表れない負担も強いられている。
 トランプ氏の発言には、来年の大統領選をにらみ国内向けにアピールする思惑が透ける。また、これから本格化する貿易交渉で日本に譲歩を迫る戦略や、対日貿易赤字削減のため巨額の防衛装備品購入を求める狙いもあろう。
 来春に控える「思いやり予算」の協定改定で、駐留経費負担の増額を要求してくる可能性もある。政府は毅然[きぜん]として公正な交渉を進めてもらいたい。
 解せないのは、G20の際に行われた日米首脳会談での安倍晋三首相の対応である。トランプ氏の安保条約への不満は来日前から報じられていたのに、首相は真意をたださなかったという。
 トランプ氏は安保条約に対する不満を半年前から安倍首相に「言ってきた」という。政府は否定しているが、事実ならば、これほど重要な発言を国民に隠していたことにもなる。
 前回5月の日米首脳会談で、トランプ氏が貿易交渉の「8月決着」に言及したことの真意もあやふやなままだ。政府が米国に日本の立場を正確に主張しているのか、それが米国に届いているのか、国民は疑念を抱いている。首相は日米間でどういう協議があったのか、国民にきちんと説明すべきだ。
 安倍政権下で、安保政策は対米偏重が進んできた。集団的自衛権の行使を解禁する安保関連法を制定、日米防衛協力指針を改定し、日米連携の一層の緊密化を掲げる。だが、それで米国の戦略に巻き込まれる懸念も膨らんでいる。
 今回のトランプ発言は、日本の一層の役割拡大を求める圧力の一環とみられる。それで良いのか。政府はあるべき日米同盟の姿や、今後の安保政策について本質的な議論に取り組む責任がある。


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