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信濃毎日/2019/7/1 10:05
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190701/KP190630ETI090001000.php

安倍外交/主体性なき米依存では

 深まる米中対立、難航する北朝鮮の非核化、日韓の関係悪化…。日本の近隣国の動静から、漠とした不安を感じている人も少なくないのではないだろうか。
 「戦後外交の総決算」をうたう安倍晋三首相は、北方領土問題や拉致問題の解決に意欲を示してきた。精力的に国際舞台を踏むも、目立った成果は上げていない。
 米国依存を抜け出せない姿勢から浮かび上がるのは、主体性を持った構想の欠如だ。
<越えられぬ障壁に>
 安倍外交の限界は、北方領土交渉であらわになった。
 1956年の日ソ共同宣言を有効とするロシアのプーチン大統領は昨年9月、首相に「前提条件なしで平和条約を結ぼう」と持ちかけた。宣言には北方四島のうち歯舞と色丹を日本に「引き渡す」とある。首相はこれに乗じた。
 外相協議に入るとロシアは、世論の反発もあり、態度を硬化させる。米国とにらみ合うプーチン氏は「宣言当時とは異なる日米の軍事関係が出現した」と発言、日米安全保障体制を問題視した。
 首相とプーチン氏の会談は26回を数えるのに、両国は根本的な障壁を越えられずにいる。
 日米安全保障条約は朝鮮戦争最中の51年に結ばれ、冷戦が激化する60年に改定された。以来、条文は変わっていない。5条は米国の日本防衛義務を定める。6条は日本国内での米軍基地設置を認め、その利用目的の範囲を「日本と極東」に限っている。
 条文と運用の乖離(かいり)が大きくなったのは冷戦後だ。米国は軍事戦略の重点を東西対立から中東やアジアに移し、「同盟体制の変容」を方針に据えた。日米安保の位置付けは「アジア太平洋地域の平和と安定」へと広がる。
 21世紀に入ると「日米同盟」の役割は「世界課題への効果的な対処」とさらに拡大する。テロや大量破壊兵器拡散の防止を理由に、基地提供だけでなく、財政負担を含む具体的で積極的な役割が日本に求められるようになる。
 政府はこの間、自衛隊の海外派遣に道を開き、日米防衛協力指針関連法、有事関連法を整備した。
<崩れる安保の制約>
 安倍政権は、安保の制約を一層形骸化させている。
 憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を認め、違憲の批判に耳を貸さず安保関連法を成立させた。自衛隊が戦闘に巻き込まれる危険は高まり、米軍との連携領域は宇宙、サイバー空間に進む。専守防衛を逸脱する兵器の大量導入が防衛費を膨らませ続ける。
 首相は先日、20カ国・地域(G20)首脳会議で初来日した中国の習近平国家主席と会談し、関係の正常化をアピールした。
 中国と米国の通商摩擦には、軍事面の覇権争いが絡む。「日米同盟」の強化が、中国の軍拡や海洋進出への対抗措置であることは隠しようもない。
 習政権は経済、軍事技術、宇宙開発をはじめ多分野でプーチン政権と急接近している。北東アジアに残る「冷戦構造」を解かなければ、大国間の綱引きのはざまで日本は立ち往生しかねない。
 どうすべきか―。まず日米安保の適用範囲を規定の通り「日本と極東」に戻し、米国の世界戦略と一線を画したい。
 トランプ大統領は米国だけが防衛義務を負う安保条約の片務性に不満を示し、「変えなければならない」と述べている。日本国内にも6千億円超の在日米軍関係経費や、不平等な地位協定への強い不満がある。来年で60年になるのを機に抜本的に見直すべきだ。
<多国協調の路線を>
 これからを考える上で、細川護熙政権時の防衛問題懇談会が94年にまとめた「樋口レポート」が参考になる。政権交代や米国の介入で黙殺されたものの、北東アジアや東南アジアの国々との「多角的安全保障協力」を提言し、日米安保充実の上に置いた。
 外務省が57年に発行した第1号外交青書は、国連中心、自由主義諸国との協調、アジアの一員としての立場の堅持―を外交の三大原則に掲げていた。いまの北東アジアには、2国間の対立や不信を地域で抑える枠組みがない。
 首相は国会で、中国の台頭を念頭に「(安保環境は)桁違いのスピードで厳しさと不確実性を増している」と訴えた。だから変質を続ける「日米同盟」の強化が必要との論法では、近隣国との関係改善は見えてこない。自家撞着(どうちゃく)に陥っていると言っていい。
 「日米同盟」を解消するのではなく、日本が主体的に描く安保構想の中に位置付け直す。経済面から見ても多国間協調は日本の生命線であり、理想論として片付けるわけにはいかない。
 野党も成果のない外交を責め立てるだけでは役割を果たせない。平和を基軸にした多面的外交の処方箋の用意はあるか。選挙で各党の考えを聞きたい。
(7月1日)


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