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山陰中央新報/2019/6/19 12:06
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1560908947559/index.html

イージス・アショア/配備計画を見直すべきだ

 地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)への配備計画を巡り、防衛省の作成した調査報告書に重大な誤りが発覚した問題は、この計画のずさんな内実を露呈した。
 新屋演習場の他に検討対象となった計19カ所のうち、9カ所でレーダーが出す電波を遮る山の仰角を調べたが、いずれも数値が過大だった。その理由が、米グーグルの衛星写真を利用した地球儀「グーグルアース」を使い、山の縮尺が縦方向に拡大されていることに気付かなかったというから、あきれるほかない。
 もともと防衛省は新屋演習場と山口県の陸自むつみ演習場(萩市、阿武町)に配備する意向で、昨年5月に両県に連絡した。その後、防衛省は秋田県や秋田市からの要請で他に候補地がないか検討。青森、秋田、山形3県の国有地19カ所を調べ、どこも配備に適さないと結論づけたデータの中に誤りが見つかった。
 防衛省はイージス・アショアを2025年度以降に導入したい考え。このため既存の演習場以外では土地の整備などに時間を要すると懸念したことは容易に想像できる。初歩的なミスの背景は「新屋演習場ありき」の結論を前提として、おざなりの調査でやり過ごそうとしたからだと批判されても致し方あるまい。
 しかも、そのデータの誤りを防衛省サイドが謝罪した住民説明会で、東北防衛局職員が居眠りして、住民から罵倒される二重の失態も犯した。
 現地調査に踏み切ろうともせず、机上ででたらめなデータを導き出す怠慢な姿勢、謝罪の場での居眠り。問題に取り組む真剣さを問われても仕方あるまい。
 安全保障は地域の理解なくして成り立たない。沖縄県の普天間飛行場の代替施設となる辺野古沿岸部の強硬な埋め立てもしかり。地元住民を脅かしたり反発を招いたりするようでは本末転倒だ。
 謝罪に訪れた岩屋毅防衛相に対し、秋田県の佐竹敬久知事は「残念というより悲しい。防衛省はマイナスのスタートと受け止めてほしい」と厳重に抗議した。同知事は先の県議会で「話は振り出しに戻った」と明言しているが、当然だろう。
 そもそもイージス・アショアは必要なのか。北朝鮮が核・ミサイルを手放さなくとも、意思が低下すれば脅威は下がる。
 政府は秋田と山口に配備する計画のイージス・アショア計2基について、当初は1基当たり800億円と想定。だが、その後に1基1340億円、2基で2680億円と発表した。さらに維持・運用費を加えると、総額は4664億円。試算には日米共同開発の迎撃ミサイルの経費は含まれない。このミサイルは1発約40億円。1基に24発の搭載が検討され、1基960億円、2基で1920億円だ。そこに施設建設費や土地整備費などが加算されていく。
 防衛省は地上配備のため要員の負担が軽減され「24時間365日の常続的な任務態勢になる」と説明する。しかしコストがより低く、機動力のある海上自衛隊のイージス艦を増強した方が合理的だ。今回のずさんな対応を見ると、イージス・アショアの予算見積もりや有用性にも疑問符を付けざるを得ない。この機に導入方針を見直すべきだ。


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