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山陰中央新報/2019/5/27 12:05
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1558922048463/index.html

温暖化防止の長期戦略/明確なシグナル見えず

 地球温暖化防止のパリ協定に基づいて政府がまとめた「長期戦略案」に対するパブリックコメントの期間が終わった。「根幹の部分は変えようがない」(政府筋)とされ、近く案に沿った形で戦略がまとめられることになる。
 長期戦略は、温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする「脱炭素社会」を日本でも実現するための道筋を示す。だが、その内容は具体性を欠き世界が求める水準に達しているとは言い難い。案の内容を強化し、現在の政策を一刻も早く根本から転換するとの覚悟を内外に示すべきだ。
 パリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ「2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力をする」という目標を掲げる。科学者によって、2度の気温上昇でも地球の生態系や社会に大きな悪影響が生じることが示され、達成は極めて困難でも可能な限り1.5度を目指そうというのが世界の基調となりつつある。
 日本の戦略案が、1.5度を目指す世界の努力への貢献をうたい、脱炭素社会を「今世紀後半のできるだけ早期に」実現することを目指すとした点は、従来の姿勢から一歩踏み込んだものとして評価できる。だが、その具体策は極めて乏しい上に、多くの問題を含む。
 脱炭素社会実現へのキーワードとして戦略案中に多く登場するのが「非連続なイノベーション」という耳慣れない言葉だ。経団連や経済産業省などが近年、頻繁に持ち出す言葉で、脱炭素社会は既存の技術だけでは実現できないとの考えに基づく。戦略案は、その例として水素、二酸化炭素(CO2)の回収と再利用、人工光合成などを挙げる。
 確かに新技術開発は必要だが、夢のような新技術の重要性を強調するあまり、戦略は、再生可能エネルギーなどの既存技術を最大限活用するためには、どのような政策や社会の改革が必要なのかという視点を欠き、政策の大変革に取り組むのだ、という明確なシグナルとはなっていない。
 その典型例が、石炭火力発電の扱いだ。政府の戦略案の基になった首相の有識者懇談会の報告書策定過程で、座長が示した「石炭火力の全廃」との記述に、経団連などの産業界の代表が強く反対し、結果的に「依存度を下げる」と後退した表現になったことが明らかになっている。政府案もこれを踏襲した。
 天然ガスなどに比べてCO2発生量が極めて多い石炭火力の廃絶は、脱炭素社会に向けた最初の一歩となるべきものだ。それがこの内容では、既得権益にしがみつく勢力の抵抗を排して、思い切った政策転換を進めることに、及び腰である現政権の姿勢を示しているとみられても仕方ない。
 1990年度比では20%減にもならない「2030年度に13年度比で26%削減」という中期の削減目標見直しへの言及がないことからも、その姿勢は明白だ。
 安倍晋三首相は、6月、大阪での20カ国・地域(G20)首脳会合で戦略を披露し、日本の積極姿勢をアピールするという。だが欧州や一部の発展途上国では、50年やそれ以前の脱炭素化という野心的な国家目標を掲げる動きが進んでいる。そんな中、この程度の日本の戦略が、世界から高く評価されるなどとは考えない方がいい。


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