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東奥日報/2019/2/9 10:05
http://www.toonippo.co.jp/articles/-/150369

行政監視の責務果たせ/統計不正論戦

 厚生労働省の統計不正発覚時の責任者である同省の元政策統括官が、参考人として、ようやく国会の答弁に立った。しかし、不正を知ったのは「昨年12月」と述べるにとどまった。調査に当たった厚労省の特別監察委員会の委員長も、独立行政法人理事長の立場で出席していることを理由に、答弁を拒否し、事態の究明は進まなかった。
 国会の冒頭から大きな焦点になった不正問題は、日本の政府の統計に対する国際的な信用性が揺らぐ状況を招いている。にもかかわらず、自民党は当初、元政策統括官が更迭され、現在の担当者でないとして、野党の国会招致要求を拒んだ。
 答弁回避のために人事異動させた「証人隠し」と非難され、2019年度予算案の審議入りと引き換えに姿勢を転換した格好だが、監察委員長としての発言を認めないという姿勢と合わせ、真相解明に後ろ向きと言わざるを得ない。
 政府の自浄作用に疑義が生じたいまこそ、国会が行政監視の責務を果たす場面だ。
 今回の不正にはいくつもの「なぜ」が浮かぶ。まず04年から東京都の500人以上の企業について、定められた全数調査ではなく、抽出調査に変えた動機は何か。監察委は、都や企業側の要望と結論付けたものの、都側が否定し、不正調査のずさんさを露呈してしまった。
 二つ目は、15年分以降、都道府県向けのマニュアルから抽出調査の記述が削除され、18年分は突如、全数調査に近づけるようデータの補正を始めた理由だ。
 三つ目は、不正調査で算出された実質賃金の伸び率である。昨年1月分から調査方法を変更し、担当者がひそかにデータ補正したことで実際より上振れしていたという。野党の試算では、昨年1~11月の賃金の伸び率は大半でマイナスとなり、根本匠厚労相も事実上認めたが、政府試算の公表には二の足を踏む。
 不正判明後は、監察委の調査で、対象の約7割を身内の職員だけで実施するなど、中立性を欠いた拙速な対応が批判された。
 こうした疑問に共通するのは、厚労省の組織的な隠蔽(いんぺい)体質と組織防衛の姿勢だ。国会は、病巣を突き止め、責任の所在を明確にすべきだ。真相をあいまいにしたまま、再発防止策を打ち出しても、実効性はおぼつかない。


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