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桐生タイムス/2019/1/22 16:05
http://kiryutimes.co.jp/editorial/15454/

可能性の感覚という言葉

 自分ではうまく表現できない感覚を端的に言い表す言葉に出合うとうれしくなる。ある雑誌の記事で、イタリアの経済学者が引用していた「可能性の感覚」という言葉に触れたとき、その内容に思わずうなずいた。
 人間は環境に適応しながら暮らしているが、ほかの生物と違うのは、与えられた環境に手を加え、自分たちに適した環境へと、能動的につくり変える能力を所有していることだ。
 食料の生産量を増やすため荒地を耕して田畑をつくり、用水を引き、品種を改良する。暑さ寒さをしのぐため、まゆや綿花などから糸を紡ぎ、それを織り上げて衣類に仕立てる。自然の材料を組み立て、安心して寝起きし、煮炊きも可能な住居を建てる。衣食住の環境ひとつ見ても、必要に応じて改善しようとする創意と実行力は、人間らしさを裏付ける能力に違いない。
 冒頭の「可能性の感覚」とは、与えられた環境を自分の要求に応じて変えてゆく能力を下支えする感覚である。こうするよりも、ああした方がいいはず。いま置かれている環境を変えることができるという意識は、人間の社会進化の基礎に横たわり続ける、大切な感覚である。
 ところが最近、この可能性の感覚が、人間から失われつつあるのではないかというのが、経済学者の指摘。要因は進化した消費社会にあるというのだ。
 思いつく節は多々ある。例えば、同僚との会話で話題に上ったのが、知らない土地で飲食店を探すときのインターネットの利用法。ネット端末で付近の飲食店を検索すれば、こちらの嗜好に適った店がたちどころに紹介される。あるいは目的駅までの最短ルートを検索すれば、乗車すべき列車の出発時間から乗換駅、目的地の最寄り駅の到着時間まで、運賃ともどもこと細かに表示される。
 ネットを使えばやみくもに歩くよりも効率よく、かつ、的確に店を探し出せる。目的地へのルート検索は、土地勘のない人にとって頼もしい案内役だ。
 ただ、あちら側から与えられるサービスに身をゆだねることに慣れすぎると、人間に備わっているはずの可能性の感覚を発揮する場面は失われゆく。
 既成のものを利用している限り、独創的な発見や発明は生まれないと、これはものづくりの現場や大学などでよく耳にする言葉。自分でできるという感覚を磨くことを失いたくはない。


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