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東奥日報/2019/1/12 10:05
http://www.toonippo.co.jp/articles/-/138442

信頼回復へ原因究明を/勤労統計の不適切調査

 またか、と思った人も多いのではないか。厚生労働省で重大なミスが発覚した。賃金動向を調べる毎月勤労統計で、決められたルールとは違う手法で調査していたのだ。不適切な調査は2004年から始まり、平均給与が実際より低く算出されていた。
 雇用保険の失業給付や労災保険など幅広い分野で「過少支給」が発生し、総額が537億円、対象者が延べ1973万人にも達する。厚労省では裁量労働制を巡る不適切データ問題が発覚するなどずさんな対応が続いている。失墜した信頼を回復するため、原因究明を徹底し責任を明確にする必要がある。関係者には猛省を促したい。
 勤労統計は、従業員5人以上の事業所のうち、約3万事業所を対象に実施。賃金や労働時間、残業代などを厚労省が都道府県を通じて毎月調べる。中小の事業所は抽出調査だが、従業員500人以上の大規模事業所は全て調べるのがルールだ。
 しかし東京都内では、500人以上の約1400事業所のうち、3分の1程度しか調べていなかった。組織的な隠蔽(いんぺい)も疑われる。
 大規模な調査には相応の経費が必要な上、人手や時間もかかる。抽出調査がいけない、と言っているわけではない。問題は長期間にわたりルールを無視、国の統計の信頼を著しく傷つけたことだ。
 勤労統計は統計法に基づき、国の基幹統計調査として実施される。結果は雇用保険の失業給付や育児休業給付、労災保険の傷病年金などさまざまな給付金を算出する際のデータとして利用される。
 国内総生産(GDP)と同時に公表される雇用者報酬を推計する主要データの一つとして活用されるほか、物価の影響を加味した実質賃金の伸びもこの調査で分かる。消費や暮らしぶりに影響する数字として注目度が高く国会や国政選挙でも論戦のテーマとなる。いいかげんな調査を漫然と続けてきた影響は甚大でツケは大きい。
 昨年夏に判明した中央省庁の障害者雇用水増し問題では、障害者雇用の担当省庁である厚労省が、身内の不正を見逃し続けてきたことで厳しい批判を浴びた。
 同省が担う雇用や社会保障、子育て支援などは生活に密着する分野だけに、国民の不信感は根深い。今回の原因究明や経緯の調査は信頼回復の一歩にすぎない。


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