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京都新聞/2019/1/11 10:05
https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20190111_3.html

吉田選手引退/33年間をねぎらいたい

 レスリング女子の吉田沙保里選手(36)が記者会見を開き、「やり尽くした思いだ」と現役引退を表明した。
 五輪と世界選手権を合わせた16の大会で、連続して世界一に輝いた。国民に勇気と希望を与え、国民栄誉賞を受けたスーパーヒロインである。
 2016年のリオデジャネイロ五輪では銀メダルに終わったが、20年の東京五輪でリベンジを果たすことが期待されていた。
 世界を制したあの高速タックルを、もう試合では見られないかと思うと、残念でならない。
 吉田選手は、父の指導を受けて3歳からレスリングを始めた。
 02年の世界選手権を初制覇した後、レスリング女子が正式種目になった04年アテネ大会から、五輪3連覇を果たした。
 日本選手のけん引役となったのはもちろん、さまざまな分野で女性の仕事や活躍の場が拡大する潮流に呼応したといえよう。
 勝ち続けると、ライバルに研究された。だが、猛練習でタックルのパターンを増やすなどして、さらに勝利を積み重ねた。
 二人三脚で歩んできた父を突然失った直後にも、東京で開催された国別対抗ワールドカップに出場し、日本の優勝に貢献した。
 競技への真剣な姿勢が、幅広い層に大きな感動をもたらした。
 できれば、東京五輪での金メダル獲得を花道に、現役を引退したかったと思われる。
 とはいえ、リオ五輪後は選手兼任ながら日本代表コーチとなり、昨夏までは出身大学の副学長を務めた。芸能活動にも、積極的に取り組んでいる。
 東京五輪出場を果たすには、世界選手権の日本代表になることが必要だ。若手の台頭もあって、険しい道のりが待ち受けていた。
 恩師の栄和人氏が、盟友の伊調馨選手にパワーハラスメントをしていたと認定された問題も、ショックだったという。
 輝き続けた「平成」の時代が、終わろうとしている。引退は、一つの区切りをつける意味でも致し方ない。33年間にも及ぶ競技生活を、「お疲れさま」と、ねぎらってあげよう。
 今後は、日本のレスリング女子の指導者として、選手たちを引っ張っていく立場になる。また、五輪での豊富な経験を、別の競技のアスリートにも伝えてほしいとの声が上がっている。
 新たなステージで、吉田選手らしく躍動する姿を見たい。


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