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高知新聞/2019/1/5 10:05
http://www.kochinews.co.jp/article/243949/

新年に経済/成長ありきでよいのか

 各国で翻訳され注目されたチェコの若手経済学者トーマス・セドラチェク氏の著書「善と悪の経済学」にこんな例え話がある。
 居酒屋に客が3人いるのにビール(富)が2杯分しかない。我慢するのは金持ちか、貧乏人か。あるいは別の判断か。
 富の分配は権利や倫理が複雑に絡む難題だが、テーブルにもう1杯が提供されれば、途端に面倒から解放される。この3杯目のビールこそが経済成長であり、国際社会はその獲得を目指してきた。
 現代の経済は3杯目が現れない、つまり成長しなくなったと著者は指摘する。にもかかわらず成長ありきでは公平な分配がおろそかになり、安心した暮らしが遠のく。著者はそう訴えたかったようだ。
 新年、世界経済の減速が心配されている。しかも富の分配どころか、大国による争奪さえ懸念される。
 最大の懸案は米中の貿易摩擦の行方だろう。米国は昨年、中国に貿易不均衡の是正を強く求め、輸入品に高関税を課し始めた。中国も同じく高関税で応酬する。
 「米国第一主義」を掲げるトランプ政権はビールの横取りは許さないと憤る。経済大国になった中国も知的財産の侵害が目立ち、外国企業に技術移転を強要し、富を囲う。
 米中の新たな通商協議が近く始まるが、2月末までに決着しなければさらなる追加関税が発動される。このままでは互いの経済を傷つけ、世界への影響は必至だ。
 欧州も波乱含みといってよい。
 3月に英国の欧州連合(EU)からの離脱が迫る中、英国の与野党が離脱合意案に反発している。メイ首相は議会採決を今月に延期したが、承認のめどは立っていない。
 「合意なき離脱」にでもなれば、欧州の政治経済や金融の混乱が心配される。欧州では極右の台頭も目立ち、反自由貿易や反国際協調の流れが一層強まりかねない。
 そんな中、米中抜きの二つの巨大貿易圏が実質ことしから始動する。先月発効の環太平洋連携協定(TPP)と2月にも発効する日本、EUの経済連携協定(EPA)だ。
 日本にとって工業製品の輸出では恩恵が期待されるが、農業への打撃が懸念される。一方で、トランプ政権などの保護主義的な動きへの対抗軸として注目されつつある。
 国内では延期されていた消費税増税が10月に控える。景気の拡大期間は今月にも戦後最長を更新するが、好況の実感は得られず、個人消費は伸び悩んだままだ。
 成長ありきのアベノミクスや日銀の大規模金融緩和は本当にこのまま続けてよいのだろうか。
 3杯目のビールのために政府は債務を膨らませ、将来世代に莫大(ばくだい)なつけを積み増している。消費税増税の腰折れ対策もばらまきとの批判が絶えない。多くの国民は暮らしに安心を感じられないでいる。
 世界も国内も、丁寧な議論と堅実な財政、経済政策が問われる。


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