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桐生タイムス/2018/10/23 16:05
http://kiryutimes.co.jp/editorial/15248/

重さが生み出す価値

 27日から読書週間が始まる。
 先日、桐生市立図書館で開かれた図書館フェスの会場に足を運び、市民古本市をのぞいてみた。本紙の記事でも紹介されていたように、大勢の市民が本の背表紙を見つめ、気になる1冊を探していた。もうすでに読書は始まっているのだなと、真剣な表情を眺めながら思った。
 著者や編集者が知恵を絞ってつけたタイトルである。魅力的なものは多い。気になる本の中から、試しに1冊を手に取り、外箱から本を取り出してみた。
 50年前の本なのだが、汚れはほとんどなく、人に読まれた形跡も少ない。しっかりとした装丁には好感が持てる。購入するかどうか迷った揚げ句、元の場所に本を納めた。重く、かさばるからと、同じ思いで購入を断念した人も少なくないはずだ。
 たしかに紙の本は重いし、家の中で場所をとる。ただ、その質量や体積、材質という物理的な手ごたえこそが、じつは本の魅力の大切な要素でもある。
 先月、東京上野で開催された「世界を変えた書物展」で、地動説を唱えたコペルニクスの著書「天球回転論」や、万有引力の法則を確立したニュートンの著書「プリンキピア」といった歴史的書物と出合った。前者は1543年、後者は1687年に刊行された古書である。
 活版印刷の美しい文字と、重厚な装丁、何よりも500年もの時間経過や、読書という人びとの営みの履歴ともいえる汚れや傷みの具合が、書物の歴史的価値や内容の普遍性を体現しているようで、引き寄せられた。
 スマートフォンやタブレット端末があれば、いつでもどこでも手軽に本を読むことができる時代である。質量や体積といった物理量から解き放たれ、本は軽くなり、所有する負担も減り、利便性は明らかに向上している。それでも紙の本を求める声は人びとの間で今も根強い。
 その理由は、書物に書かれた内容や作品そのものとしての魅力に加え、500年の時を経て21世紀に生きる私たちも利用することができるという、紙・印刷・装丁技術の保存性に対する信頼に由来するのだろう。
 図書館という、公共財産としての書物を収集・管理・保存する場所の役割も大切だ。身近な場所で、手間と時間をかけてものをつくることの大切さが見つめ直される時代でもある。古いつきあいの〝物としての本〟の意味を改めて考えてみたい。


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