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奈良日日新聞/2018/8/25 0:07
http://www.naranichi.co.jp/20180824is527.html

生駒市立病院/市民に愛される病院へ

 7月27日の公開から3週連続で国内映画ランキング(全国週末興行成績・興行通信社提供)の1位に輝き、興業収入はすでに64億円を突破している「劇場版コード・ブルー・ドクターヘリ緊急救命」。救命救急センターを舞台に、ドクターヘリに携わる医師たちの姿が描かれており、山下智久、戸田恵梨香、新垣結衣ら豪華キャストに加え、医療の現実を見つめ直す作品としても大きな話題と人気を呼んでいる。
 県内でも救急医療体制の整備は以前から課題とされており、県独自のドクターヘリが導入され、昨年3月から運航。県内全域を片道15分以内でカバーしている。またこれまで行ってきた三重県、和歌山県、関西広域連合のドクターヘリの共同利用も継続しており、県民としては非常に心強い存在だ。さらにヘリによる搬送の費用は患者が負担する必要はなく、誰もが平等に恩恵を受けられる。田原本町を舞台に今月5日に行われた県防災総合訓練でもドクターヘリが出動。救急搬送訓練を行う様子に、県民からは「リアルコードブルー」と歓声が上がった。
 無論良い点ばかりではなく、ドクターヘリの導入にはヘリポートの整備なども含め莫大な費用がかかり、事故の危険性も伴う。しかし山間部で過疎地が多い奈良県にとって、ドクターヘリの存在は大きい。行政の一番の役割は住民の命を守ること。ドクターヘリの導入による患者の救命率向上や後遺症の軽減に期待したい。
 一方、山下真前市長の負の遺産ともささやかれている生駒市立病院は課題が山積みだ。開院から3年が経過した今も常勤の医師は不足しており、赤字経営が続く。市民は救急・小児医療の充実を求めていたにも関わらず、肝心な救急科の常勤医は不在で、小児科も当初計画の常勤医数に足りていないという惨状だ。
 ドクターヘリの導入や、南奈良総合医療センターの開設など、荒井正吾知事が目指す「断らない」医療体制の充実。同病院も同様の考えで、24時間365日受け入れる体制を整え、地域住民が安心できる救急医療を目指している。指定管理者である医療法人徳州会は、重症患者の増加に対応できるようHCU(高度治療室)7床を含む210床をフルオープンすることで、市外、県外への流出患者の市内回帰を目指すとしている。しかし前述した通り救急科の常勤医はゼロ。救急応需率を下げている主な要因はここにあり、今のところ改善は見られない。小児科医の確保も含め、「地域住民の医療ニーズに対応できる病院」の実現は遠い。
 昨年7月に発生した新院長引き抜き事案や、2度にわたる暴力団交際疑惑、平成25年9月に取りざたされた公選法違反事件など、市民の徳州会グループへの不信感は募るばかり。今号で報じた市民の「徳州会の言いなりにならず、市としてきちんと市民のための病院づくりを進めてほしい」との声はもっともだ。「劇場版コード・ブルー」ほどの人気を集めるのは無理にしても、負の遺産からいち早く脱却し、市民から愛される病院として話題になることを期待したい。


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