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桐生タイムス/2018/7/17 16:05
http://kiryutimes.co.jp/editorial/15023/

危険を察知する力

 前橋からの帰り道、桐生方面に巨大な積乱雲が現れた。雲の下は鉛色にくすんでおり、雷雨の様相だが、距離はまだ遠いようだ。雲の峰を眺めながら「東雷(ひがしかみなり)雨降らず」のことわざを思い浮かべた。
 通常、天気は西から東へと移ろう。自分の立つ位置よりも東側に現れた雷雲は、音と光こそすれ雨は降らない。そんな先人の経験が、ことわざの形で私たちに受け継がれている。
 みどり市大間々町の福岡地区で農業を営む男性から「赤城の三束(さんぞく)雨」の俚言を教えてもらったのは、4年前の初夏のこと。赤城山の上空に積乱雲が立ち、いったん雷鳴が響けば、刈り取った麦の束を三つもつくらぬうちに雨が降り始める。父親からの教えだという。
 今からどれほどの時間で天気が崩れるのか、どう備えればいいのか。空模様とことわざとを照合し、次の作業につなげる。外で農作業する人が、こうした先人の教えを思い返し、その確かさを認めるたびに、ことわざの強度は増し、時代を超えて語り継がれるものとなった。
 農業人口が少なくなった今、地域に残るこうしたことわざが人の口にのぼる機会も減り、伝承は徐々に難しくなっている。
 ただ、豪雨、猛暑と極端な気象が増え、災害の発生が相次ぐ昨今である。発生のおそれがある自然災害の兆しを空模様で察知し、それを回避するための行動につなげる力は、今の時代にこそ求められているはずだ。
 西日本豪雨のニュースで、広島県の被災地に住む高校生が雨の夜、外に出たら土のにおいが充満していたので、これは危ないと思ってすぐに避難したのだと語っていた。いつもと違う状況に気づき、とっさの行動に結びつけ、難を逃れたという。気密性の高い住宅の中で、ニュースに頼っていたら逃げ遅れていたかもしれない事案である。
 普段はきれいな湧き水が濁った。沢の水量が著しく増減している。流れの中で石どうしが衝突し、ごろごろと雷鳴のような音が聞こえた。こうした話も自然災害の現場で、経験者の言葉としてよく耳にする。
 情報通信技術が発達し、端末を通してさまざまな情報が提供される時代に、自ら災害の危険を察知する能力はどうしても鈍くなる。眠っている先人の知恵も参考に、日々を丁寧に観察する。異常や危険を察知する能力を磨く、基本の作業である。


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