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福島民友/2018/6/13 10:05
http://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20180613-279320.php

米朝首脳会談/非核化への道筋まだ見えず

 北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和体制構築を単なる構想で終わらせず、実践に移すための推進力は生まれたのだろうか。
 初の米朝首脳会談が行われ、トランプ大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が単独形式を含め、約5時間にわたり膝をつき合わせた。しかし、共同声明の内容はトランプ大統領が自賛する「偉業」とするにはあまりにも距離がある。
 過去の米朝間や6カ国協議の合意や共同声明に比べて、象徴的な文言が多く、非核化の具体的な手順や期間、さらに「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」というトランプ政権が最重視してきた原則は抜け落ちた。
 トランプ大統領は、共同声明を「包括的な文書」としたが、具体性に欠けることの裏返しと言わざるを得ない。「過去の失敗は繰り返さない」と強調してきたトランプ大統領、そして金委員長は今後、共同声明の内容を実践する責任が問われることになる。
 昨年まで互いに激しくののしり合ってきた米朝2人の指導者が、首脳会談で向き合ったことは、朝鮮半島の緊張緩和と平和構築、首脳間の信頼づくりに向けた第一歩としての意義はある。
 政治家としての思惑も2人にはある。トランプ大統領は11月の中間選挙を前に外交的成果を示したいと考えている。金委員長には、先代指導者を超える業績を獲得しようとする野心があるだろう。
 しかし、それ以上に朝鮮半島に残された冷戦構造を平和体制に転換するという世紀をまたいだ課題への覚悟が2人の指導者には問われている。それこそが「歴史に名を残す」ことになる。
 完全な非核化はたやすい作業ではない。核活動の凍結から申告と査察、核関連施設や兵器の解体まで、非核化プロセスが難題に直面する要素はいくらでもある。それだけに非核化の実現に向けては、日本や韓国、中国など関係国が足並みをそろえ、共同声明の履行を支えることが重要になってくる。
 北朝鮮が求める体制存続のための安全保障のメカニズム構築も、米朝だけで実現できるものではない。北朝鮮の非核化に相応し、北東アジア全体の安全保障と新秩序を考えることが求められる。6カ国協議の枠組みを地域安保の協議体として再生させることを検討する価値もあるだろう。
 これまで存在感の希薄さが否めなかった日本の外交力も改めて試されることになる。日本人拉致問題という懸案を抱えながらも朝鮮半島で起きつつある地殻変動に対応した独自の関与が求められる。


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