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茨城新聞/2018/6/13 4:05
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu&【論説】米朝首脳会談 合意実践の推進力必要

米朝首脳会談/合意実践の推進力必要

 北朝鮮の非核化と朝鮮半島の平和体制構築を単なる構想で終わらせず、実践に移す推進力が生まれたのだろうか。北朝鮮との交渉で「過去の失敗は繰り返さない」と強調してきたトランプ米大統領だが、共同声明に過大な意義を与える姿は、後に大きな失望をもたらしかねない懸念を与える。
  初の米朝首脳会談がシンガポールで行われ、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が単独形式を含め約5時間、膝をつき合わせた。会場となったホテルの廊下や散策路を2人だけで歩く場面もあった。
  しかし、米朝の指導者が署名した共同声明の内容は、トランプ大統領が説明するような「偉業」とするにはあまりにも距離がある。過去の米朝間や6カ国協議の合意や共同声明に比べ、象徴的な文言が多く、非核化の具体的な手順や期間、さらに「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」というトランプ政権が最重視してきた原則は抜け落ちた。
  トランプ大統領は共同声明は「包括的な文書」と指摘したが、具体性に欠けることの裏返しと言わざるを得ない。トランプ大統領と金委員長には今後、共同声明の内容を具体的に実践する責任が問われることになる。
  昨年まで「小さなロケットマン」「老いぼれ」などと激しくののしり合ってきた米朝2人の指導者が首脳会談で向き合ったのは、朝鮮半島の緊張緩和と平和構築、何より首脳間の信頼構築に向けた第一歩としての意義はある。
  だが、政治家としての思惑も2人にはある。トランプ大統領は、くすぶるロシア疑惑捜査から目をそらし、11月の中間選挙を控え外交的成果を示したいと考えている。金委員長には、米国との関係改善を進めることで、2人の先代指導者を超える業績を獲得するという野心があるだろう。
  しかし、それ以上に朝鮮半島に残された冷戦構造を平和体制に転換するという世紀をまたいだ課題への覚悟が2人の指導者には問われている。それこそが「歴史に名を残す」ことにもなる。
  完全な非核化はたやすい作業ではない。北朝鮮が実際に核兵器をどれだけ開発し、実戦配備しているのかさえ明らかになっていないためだ。核活動の凍結から始まり、申告と査察、核関連施設と核兵器の解体に至るまで、非核化プロセスが難題に直面する要素はいくらでもある。
  それだけに、非核化の実現に向けては、日本や韓国、中国など関係国が足並みをそろえ共同声明の履行を支えることが重要となってくる。
  北朝鮮が米国に求める体制存続のための安全保障のメカニズム構築についても、米朝だけで実現できるものではない。北朝鮮の非核化に相応し、北東アジア全体の安全保障と新秩序を考えることが求められる。中断してから今年で10年となる6カ国協議の枠組みを、地域安保の協議体として再生させることを検討する価値もあろう。
  何より、これまで存在感の希薄さが否めなかった日本の外交力が、改めて試されることになっている。日本人拉致問題という懸案を抱えながらも、朝鮮半島で起きつつある地殻変動に対応した日本独自の関与が求められる。拉致問題解決のためにも、朝鮮半島の平和維持に積極的に関わる姿勢を示すことが必要だ。
 


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