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東奥日報/2018/2/13 10:05
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/20180213033156.asp

憂慮される冷戦への回帰/米の核戦略新指針

 トランプ米政権が先ごろ、新たな核戦略指針「核体制の見直し」(NPR)を公表した。米国の安全保障政策にとどまらず、日本など同盟国の国防政策をも左右する重要文書だ。国際的な軍縮・不拡散を主導してきた米国の戦略であるため、核を巡る今後の秩序づくりにも重大な影響を及ぼす。
 NPRは歴代政権が1990年代以降、発足直後に検討を始め、1年程度を費やし、関係省庁の綿密な議論を経て策定してきた。8年前のオバマ政権は「核なき世界」を明確に志向したのが大きな特徴だった。
 今回は、日韓の核保有を容認する発言を過去に行い、北朝鮮の対米核武装宣言に「私の核のボタンははるかに大きく強力だ」と反論した大統領の下でのNPRであるため、高い注目が集まった。
 「トランプNPR」を端的に表現するなら、現代的な核リスクを軽視した冷戦への危険な回帰とも言えるだろう。「核なき世界」の目標も事実上放棄しており、憂慮すべき点が多い。
 最大の「標的」はクリミアの強制編入以来、米国との関係が険悪化したロシアだ。ロシアは、2千発保有しているとされる戦術核を有事に使うことも辞さない核戦略を採用しているとみられる。それに対抗して、NPRは広島型原爆の数分の1の爆発力を持つ小型核を新たに開発して、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に搭載する方針を明記した。
 SLBMに現在搭載中の核弾頭は広島型原爆を大きく上回る破壊力があり、壮絶な非人道的結末を考えると到底使えない。だから大統領に「より現実的な選択肢」を提示するために小型核を配備し、ロシアへの抑止力を強化するという。
 しかし本当に抑止力は高まるのか。逆に新型核の開発はロシアに加え、中国や北朝鮮に誤ったシグナルを送り、核軍拡競争のジレンマに陥りかねない。米国が「使いやすい核」を持てば、ロシアが核使用に踏み切れないとするのは短絡的で危険な発想だ。
 驚くのは、NPRに対して安倍政権が「高く評価する」(河野太郎外相)と表明したことだ。そこには核戦力と使用の脅しを最大化すれば、抑止力が増強されるという思考様式がある。被爆国の政府が結果的に核軍拡に加担することにならないか。


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