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信濃毎日/2017/8/13 10:05
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170813/KT170812ETI090009000.php

憲法の岐路/首相の情念/歴史に逆行する危うさ

 8・15が巡ってくる。数えて72回目の終戦記念日だ。敗戦から新憲法公布(1946年)、講和条約発効(52年)を経て、今の私たちの暮らしはある。
 そうした戦後の歩みも、安倍晋三首相には是認できないものに映っているようだ。
 首相はよく「真の独立を取り戻す」と言う。連合国の占領下で制定された憲法を変えることによって日本は初めて独立を取り戻すことができるのだ、と。
 「GHQ(連合国軍総司令部)の素人がたった8日間で作った」「妙にへりくだった、いじましい文言」「みっともない」
 首相が憲法を評した言葉だ。先日は目指してきた2020年の改定憲法施行にこだわらない姿勢を示したものの、改憲をあきらめたわけではない。
 終戦の日に合わせ、戦争と憲法について考える。
   <祖父の改憲論>
 国会の議事録を開くと、首相の祖父、岸信介首相の答弁にも似た表現がしばしば登場する。例えば1958(昭和33)年11月の参院予算委でのやりとりだ。
 論客として知られた社会党の羽生三七氏(長野地方区)が問う。総理が改憲論者であることはよく知られているが、憲法を変える必要はどこにあるのか―。
 岸が答える。「われわれが占領下から出て真の独立を回復し、自由な意思をもって憲法を考える時期に来ている」
 祖父と孫は政策の方向や政治姿勢もよく似ている。岸は警察官の権限を強化する警察官職務執行法(警職法)の改正、教員に対する勤務評定導入など、保守色の濃い政策を推し進めた。
 日米安保条約改定はデモの学生に死者が出るなど混乱を極めた。自然成立を待って岸は退陣。「私には声なき声の支持がある」がその時の言葉とされる。
 安倍首相は第1次政権のとき教育基本法を改定。第2次、第3次政権では特定秘密保護法や安保関連法、共謀罪法を制定している。数の力による無理押しだった。
 首相は反対論に耳を傾けない点まで祖父に学んだかのようだ。「世間のごうごうたる非難を向こうに回して、その泰然とした態度には、身内ながら誇らしく思うようになっていった」と、著書「新しい国へ」に書いている。
 岸が主導して54(昭和29)年にまとめた改憲案がある。自民党の前身、自由党の憲法調査会長を務めていた時のことだ。
 その内容は、▽天皇は元首とする▽軍隊を設置する▽非常事態宣言の規定を設ける▽国民に国防義務、法律の順守義務、国家への忠誠義務を課す▽基本的人権は法律で制限できる―など。
 時計の針を戦前、戦中に戻したかのようだ。自民党の2012年改憲草案と重なる部分も多い。
   <9条が空文化する>
 安倍首相は今年の憲法記念日に9条改憲を打ち出した。戦争放棄の1項、戦力不保持と交戦権否認の2項はそのままに、自衛隊の存在を書き込むという。
 これなら小さな改定に見えて国民の支持を得られやすい―。そう考えたのだろう。
 2014年7月の安倍内閣による閣議決定により、自衛隊は集団的自衛権が行使できるようになった。そんな自衛隊を書き込めば9条は空文化する。小さな見直しでは決してない。
 首相の言葉の一つに「戦後レジームからの脱却」がある。首相によると戦後レジームとは、占領時代に作り上げられた憲法、教育基本法などの枠組みを指す。
 戦後の歴史の出発点は1945年7月26日のポツダム宣言だ。連合国が日本を占領することや、武装解除、旧体制の除去、戦争犯罪人の訴追などを定めている。
 憲法との関連では、言論・宗教・思想の自由と基本的人権の尊重を定めた条項が重要だ。憲法の基本理念になっている。
 日本政府はポツダム宣言を受諾したことにより天皇中心の国家体制を転換することを義務付けられた。だが新憲法の制定は旧体制への未練からなかなか進まない。業を煮やしたQHQが独自の案を提示、その案に沿った憲法制定を日本政府に求めた。そうやってできたのが今の憲法だ。
   <「脱却」してどこへ>
 これを押しつけと見るのは、事柄の一面だけをとらえた議論である。出発点には日本がポツダム宣言を受け入れた事実がある。国民の多くが新憲法を歓迎したことも見落とせない。
 今の憲法には市民革命以来の世界の歴史が織り込まれてもいる。平和、国民主権、基本的人権の尊重は地球上どこに住む人にも保障されるべき普遍的価値である。
 その憲法から脱却して首相はどこへ行こうというのか。
 9条改憲を突破口に岸の改憲案が息を吹き返すようでは歴史の逆行になる。
(8月13日)


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