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山陰中央新報/2017/3/20 12:06
http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=564217033

PKO日報隠し/信頼回復へ徹底調査を

 陸上自衛隊が「廃棄済み」として情報公開請求に応じなかったアフリカ・南スーダン派遣の国連平和維持活動(PKO)部隊の「日報」が、実は陸自自体に保管されていたことが判明。さらに陸自がいったんは公表を検討したが、統合幕僚監部の幹部が保管の事実を非公表とするよう指示していたという。自衛隊が意図的な情報隠しを行っていたとすれば、国民の信頼は失墜する。深刻な事態だ。
 南スーダンの情勢を報告した「日報」には、昨年7月に起きた政府軍と反政府勢力との大規模紛争が「戦闘」という表現で記載されていた。日本政府は、現地の治安は比較的安定しており、「戦闘」は起きていないとしてPKO派遣を継続してきた。政府判断に不都合な「日報」を防衛省が意図的に隠蔽(いんぺい)したということではないか。
 稲田朋美防衛相は自身の直轄組織による「特別防衛監察」の実施を指示し、「徹底的に調査し、改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」と強調した。 防衛省・自衛隊が扱う情報には一定の機密情報があるとしても、その隠蔽体質がこれまでも指摘されてきた。徹底的に調査し、組織のうみを洗い出す必要がある。
 稲田氏はこれまで「陸自の保管分は全て廃棄した」と説明してきた。稲田氏が一連の経過を知らされていなかったとすれば、省内を統率できていない証左であり、シビリアンコントロール(文民統制)に関わる事態だ。
 稲田氏は国有地の格安払い下げ疑惑で問題となっている学校法人の訴訟に関与していないとした国会答弁を撤回、謝罪し、「虚偽答弁だ」と野党が辞任を求めている。
 自衛隊が稲田氏の存在を軽視していたとすれば、組織改革が本当に進むのか疑問だ。稲田氏を早期に交代させ、新たな体制で解明に臨むべきではないか。稲田氏を重責に起用した安倍晋三首相の任命責任も問われるだろう。
 防衛省は昨年10月にジャーナリストからの「日報」の情報公開請求を受理したが、「陸自で廃棄済み」として12月に不開示を決定した。しかし稲田氏の指示と自民党議員の要求で再調査した結果、同月末に統幕監部に電子データとして保管されていることが判明した。
 だがその情報を稲田氏に報告したのは約1カ月後。さらにその後も稲田氏は「陸自では発見できなかった」との答弁を繰り返してきたが、3月になって陸自でも保管されていたことが分かった。
 この事実は陸自トップの陸上幕僚長にも報告されており、統幕監部の幹部が非公表を指示していたことと合わせれば組織的な隠蔽と考えざるを得ない。菅義偉官房長官は「稲田氏が特別防衛監察の実施を指示したのは、閣僚としての指導力だ」と述べたが、一連の経緯をみれば指導力を欠くのは明らかだろう。
 安倍政権は南スーダンPKOに関し、5月末を目途に撤収させる方針を決めた。その理由は道路整備などの活動に一定の区切りを付けることができるためだとし、治安情勢を考慮したものではないとしている、しかしこの説明にも疑問符が付く。自衛隊の活動には国民の信頼が不可欠だ。正確な情報を開示しなければその基盤を失うことになる。


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