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新潟日報/2016/3/2 10:05
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20160302238581.html

認知症判決/過酷な現状に理解示した

 認知症患者を抱える家族の過酷な現状に、一定の理解を示した判決といえるだろう。
 認知症で徘徊(はいかい)中の男性が電車にはねられて死亡した事故をめぐりJR東海が損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は男性の妻に賠償を命じた二審判決を破棄し、JR側の請求を棄却した。
 民法は責任能力がない人が与えた損害は「監督義務者」が賠償すると規定している。
 認知症患者の家族は監督義務者ではなく、防ぎ切れない事故の賠償の責任までは負わないとする、初めての判断である。
 事故は2007年に愛知県で起きた。91歳だった男性は、同居の妻がうたた寝をしたわずかな隙に外出して駅構内で線路内に入り、電車にはねられた。
 一審は妻と長男に、二審は妻だけに賠償を命じていた。
 介護関係者からは徘徊を完全に防ぐことは不可能で「認知症患者の閉じ込めにつながる」といった批判が出されていた。
 男性は要介護4で当時85歳の妻も要介護1だった。長男の妻も近くに移り住み、見守っていた。
 市民感情からいえば、懸命に介護していた家族に事故の賠償責任を負わせるのは酷だろう。
 介護の現状を踏まえ、家族や介護関係者の思いをくみ取った判決と評価したい。
 上告審で家族側は、配偶者だからという理由だけでは監督義務を負わない、と訴えていた。
 二審で長男は20年以上別居していることから監督者に当たらないとされたことに対して、JR側は介護方針を決めていた長男にも監督義務があったと主張していた。
 最高裁判決は、家族が認知症患者を容易に監督できる場合などは賠償責任を負うケースがあると指摘する一方、今回はそれに当たらないと判断した。
 だが、家族の免責の範囲は、家族と患者との関係や介護の実態などを総合的に考慮し、検討すべきだとしている。
 基本的に認知症の高齢者を想定していない民法規定の不備を補う具体策までは示さなかった。
 高齢化社会を迎え認知症患者は増えている。認知症になっても本人や家族が安心して暮らしていける社会を築かなくてはならない。
 認知症の高齢者は12年は約462万人だったが、20年には600万人を超えると推計されている。
 徘徊などで行方不明になる人は年間1万人を超える。
 高速道路での逆走や、店舗などに突っ込む交通事故も増えている。消費者犯罪の被害に遭うケースも後を絶たない。
 在宅での医療・介護の充実はもとより、地域で見守り、事故を防いでいくことが重要だ。
 政府は昨年、認知症施策の国家戦略「新オレンジプラン」を策定、介護者への支援や予防法研究など七つの柱を掲げた。速やかに着実に実行することを求めたい。
 事故などの被害者の救済策や、社会で損害を弁償できるような仕組み作りも検討すべきだ。
 判決が残した「宿題」を、社会は受け止めねばならない。


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