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高知新聞/2020/9/16 10:05
http://www.kochinews.co.jp/article/397748/

ゴーン事件公判/真相解明に近づく審理を

 「主役」不在の審理だが、日産ブランドを大きく傷つけた事件の真相解明に近づく審理を尽くさなければならない。
 元日産自動車会長、カルロス・ゴーン被告が、役員報酬を有価証券報告書に過少記載したとされる金融商品取引法違反事件の公判が東京地裁で始まった。
 元側近で共犯とされる元代表取締役、グレゴリー・ケリー被告は無罪を主張し、検察側と全面対決する姿勢だ。法人としての日産は起訴内容を認めた。
 起訴状などによると、両被告は共謀し、2010~17年度の元会長の報酬総額が約170億円だったのに、既に支払われた計約79億円だけを報告書に記載。退任後に受け取る未払い分約91億円を除外したとしている。
 ケリー被告の弁護側は、ゴーン被告を退任後も日産につなぎとめる顧問契約の対価であり、「未払い報酬は存在しない」と反論している。
 最大の争点は、この未払い分が報告書に記載すべき確定した報酬と言えるかどうかだ。検察は日産幹部と司法取引をしており、証言の信用性にも注目が集まる。
 ゴーン被告はこのほかにも、会社法違反(特別背任)の罪で起訴されている。私的な投資損失の付け替えや知人らへの不正送金などで日産に損害を与えたとされる。
 検察側から見れば、会社を私物化したという意味で事件の本質に迫る中身といえよう。ところが、ゴーン被告は保釈中の昨年末、レバノンに逃亡した。公判が開かれるめどは立っていない。
 逃亡先では自身の正当性を世界に発信し続け、日本の刑事司法は有罪ありきだと批判している。だが、日本の法律で罪に問われ、疑問に感じた司法の現状は日本の法廷で主張すべきなのは当然だろう。
 日本とレバノンは犯罪人引渡条約を結んでいない。レバノンは政情も混乱している。身柄の拘束や引き渡しは一層困難になっているとされるが、政府はなお粘り強く交渉していく必要がある。
 日産外部の弁護士らでつくる特別委員会が昨年まとめた報告書には、ゴーン被告に関して「ある種の神格化が進んでおり、活動は社内で不可侵領域化していた」などと日産の企業統治の問題が列挙された。
 日産は、ゴーン時代に販売拡大を優先するあまり新型車の開発が遅れ、現在の販売不振の要因となった。不祥事による社内混乱もあり、企業イメージが悪化して低迷に歯止めがかからなくなっている。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響も受けた21年3月期には、2年連続の巨額赤字となる6700億円の純損失を見込む苦境にある。経営立て直しは正念場であり、真の信頼回復は急務だろう。
 地裁は来夏まで計76回の審理を予定している。徹底した真相解明を求めたい。ゴーン時代の日産の企業統治とともに、日本の司法制度のあり方もうやむやにしてはなるまい。


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