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読売新聞/2020/10/29 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20201028-OYT1T50340/

代表質問/国の針路を大局的に論じよ

 感染症への対応や財政健全化など重要な課題について、議論が深まったとは言えない。政府と与野党は、大所高所から論じる必要がある。
 菅首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。菅内閣の発足後、初めての本格的な国会論戦である。
 立憲民主党の枝野代表は、社会保障や雇用などの予算を充実させ、「命と暮らしを守る上で欠かせないベーシックサービスをすべての皆さんに保障する」と述べた。保育士の賃上げや、保健所などの職員増を具体策に挙げた。
 首相が「自助、共助、公助」を掲げ、自助努力の重要性を唱えていることに対し、政府の役割を拡大する立憲民主党の基本政策を強調したかったのだろう。
 新型コロナウイルスの流行を踏まえた経済対策に関しては、枝野氏は時限的な措置として、年収1000万円以下の所得税免除や、消費税の減免などを訴えた。
 感染症が収束せず、事業の継続を不安視する企業は多い。困窮した人への支援を含め、社会の安全網を強化することは大切だ。だが、財源を示さず、大規模な減税まで主張するのは安易に過ぎる。
 公共サービスを充実するためには、多大な費用がかかる。枝野氏が言う予算配分の変更だけでは、財源を捻出できまい。
 税収を増やすには、経済成長が不可欠だ。責任政党を標榜(ひょうぼう)するならば、枝野氏は説得力のある構想を示してもらいたい。
 首相は「所得税の免除は低所得者に効果が及ばず、消費税は社会保障のために必要な財源だ」と枝野氏に反論した。
 政府は、感染症の抑止と経済の両立を図り、国民の不安の解消に努めなければならない。
 日本学術会議が推薦した会員候補の任命を拒否した理由について、首相は「人事に関することで、答えは差し控える」と述べた。学術会議に関し、「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りがみられる」とも語った。
 組織の問題点を指摘し、人事の妥当性を訴えたかったのだろうが、「政府が行うのは形式的任命」という過去の政府答弁と整合性が取れてはいまい。分かりやすく説明することが重要だ。
 自民党の野田聖子氏は、憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案の早期成立を求めた。
 投票の利便性を高める内容で、野党にも異論は少ないはずだ。衆参の憲法審査会で議論し、速やかに成立させるべきである。


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