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読売新聞/2020/10/29 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20201028-OYT1T50337/

航空会社の経営/構造改革で苦境を克服したい

 航空会社の経営が厳しさを増しているが、世界を結ぶ空のインフラを守ることは重要だ。各社は事業継続のための改革に全力を挙げてほしい。
 全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングスは、2021年3月期連結決算の最終利益が、過去最悪となる5100億円の赤字に陥る見通しだと発表した。
 同時に構造改革案をまとめ、コスト削減策も表明した。
 新型コロナウイルスの流行による各国の渡航制限で、国際線の運航は前年比で9割減の状態が続いている。日本航空(JAL)も、21年3月期に2000億円を超える赤字になるとみられている。
 国際線の本格的な回復は当面、見込めない。できる限りの構造改革に尽力することが必要だ。
 ANAは、全社員の月給を下げ、冬のボーナスはゼロとする方向だ。一般社員の年収は3割減ることになる。グループ外の企業に400人以上を出向させるほか、採用凍結などで人件費を減らす。
 雇用は守る方針だという。休業手当の一部を国が支給する雇用調整助成金を活用しながら、手立てを尽くしてほしい。
 路線集約や機材の売却も行い、固定費を圧縮するとしている。
 新たな事業を開拓する「攻め」の改革も大切である。
 ANAは、マイレージサービスなどで得た顧客データを集め、旅行商品をネット販売するといった事業を行う。新たな格安航空会社のブランドで国際線の運航を始める。外国人操縦士を使い、雇用を柔軟に見直せるようにする。
 JALは、客室乗務員が地方で特産品の開発や観光客誘致を手助けする業務を展開するという。
 そうした取り組みは大事だが、現在の苦境は、各社の経営努力だけでは乗り切れない部分もあろう。海外では、タイ国際航空のように破綻する会社が出ている。補助金や出資などによる公的支援に乗り出す国も多い。
 航空路線は、人の自由な往来を支えるインフラである。新型コロナの収束後に、経済再生を円滑に進めるためにも不可欠だ。
 ANAとJALは、当面の資金繰りに問題はないというものの、影響の長期化に備え、政府による支援策の強化を検討したい。
 すでに政府系金融機関による危機対応融資や、国が管理する空港の使用料の一部減額を行っている。燃料税の減免なども選択肢となろう。各社の自助努力を支えることに力を注いでもらいたい。


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