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読売新聞/2020/9/16 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200915-OYT1T50299/

ASEAN会合/米中覇権争いの場とするな

 アジア太平洋地域の安定と発展に向けた会合が米中の覇権争いの場と化したのは残念だ。関係国が米中の各陣営に分断されるような事態は避けなければならない。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国と日米中などが参加する外相会議が、オンライン形式で開かれた。米国が南シナ海での中国の主権の主張を全面否定してから初の米中対話の機会だったが、非難の応酬で終わった。
 ポンペオ米国務長官は、中国の南シナ海での「攻撃的な行動」を批判した。中国の王毅外相は、米国が空母を含む軍艦や軍用機を派遣しているとして、「米国こそが地域の平和を損ねる最も危険な存在だ」と主張した。
 米中はそれぞれ、ASEANと個別に会議を開き、取り込み合戦も繰り広げた。米国は、コロナ禍で打撃を受けた地域経済の回復を全面的に支援すると強調し、中国は、ASEAN諸国へのワクチンの優先供与を約束した。
 米中は、ASEANが大国間の板挟みになり、苦悩を深めていることに配慮すべきだ。
 フィリピンやベトナムなどは、南シナ海の領有権で中国と争う一方、経済は中国に依存している。インドネシアの外相は、米中対立はどの国の利益にもならないとし、平和的解決を求めた。
 そもそも、南シナ海の緊張が高まった原因は、中国が法の支配を無視し、軍事拠点化を進めていることにある。8月に弾道ミサイルを発射し、軍事演習を9月も続けている。中国は一方的な現状変更の動きを中止せねばならない。
 米国も中国との意思疎通を図り、緊張緩和に努めるべきだ。南シナ海で軍事的な対抗措置をエスカレートさせれば、ASEAN側の警戒を招き、中国につけ込む余地を与えるのではないか。
 トランプ米大統領が11月の大統領選を控え、対中強硬策を支持固めに利用することも懸念される。米国はASEANとの関係を中国を牽制(けんせい)する手段に利用するのではなく、地域の平和と繁栄のために関与することが重要である。
 茂木外相は今回の会議で、中国の行動を念頭に、東シナ海と南シナ海の現状に対する危機感を示し、「状況の改善に向けた建設的な行動」を呼びかけた。
 南シナ海は重要なシーレーン(海上交通路)で、航行の自由の確保は日本の国益にも関わる。日本は米国、ASEANとの連携を強固にし、国際協調による安定の維持に貢献していきたい。


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