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河北新報/2020/8/2 8:00
https://www.kahoku.co.jp/editorial/20200802_01.html

水沢観測所の予算/歴史や文化踏まえ配分を

 奥州市にある国立天文台水沢VLBI観測所の本年度予算が半減された問題は、予算が追加配分され、運用する国内4台のVERA電波望遠鏡の運転継続が決まった。だが、来年度以降の見通しは立っていない。
 国立天文台(東京)が、予算半減を通知したのは3月。国の運営費交付金が減り、米ハワイの「すばる望遠鏡」など新型の大型望遠鏡に重点を置いたのが理由とされる。
 水沢観測所は昔も今も世界とつながり、天文ファンや世間の耳目を集め続けているのに、予算半減という判断にはどうしても疑問符が付く。
 前身は1899年設置の臨時緯度観測所で、近代科学史に輝く「Z項」の発見で知られる。緯度測定によって地球の自転のぶれを観測するという国際プロジェクトの中で得られた成果だった。
 創設から120年後の2019年には、総勢200人の国際チームが挑み、史上初となるブラックホールの輪郭撮影で大きな役割を果たした。宇宙の謎を解明する重要な手掛かりとなり、功績はノーベル賞級と称される。
 VLBIは複数の望遠鏡を組み合わせ、仮想の巨大望遠鏡をつくる技術だ。VERAはこの技術を使った日本の観測システムで、「天文広域精測望遠鏡」とも呼ばれる。
 VERAの観測網は、水沢と鹿児島県薩摩川内市、東京都小笠原村、沖縄県石垣市の4台の望遠鏡を組み合わせ、直径2300キロの望遠鏡に匹敵する観測能力を持つ。予算が半減すれば、水沢以外は止まるとみられていた。
 通知を受け、水沢観測所は研究テーマを銀河系の立体地図を作るプロジェクトからブラックホール関連などに変更し折衝。数千万円の追加配分が決まり、VERA観測網の運用停止はぎりぎり免れた。
 この問題に関し、「国立天文台の予算決定が執行部のトップダウンになった弊害」との指摘がある。問題をきっかけに元天文台長らが第三者委員会をつくり、天文台執行部と研究者らとの関係を改善する動きが出てきたという。
 奥州市ではVERAの運用継続を求める署名活動が展開された。窮状を訴えてきた本間希樹所長は「非常に追い風になった。地域との絆を再確認した」と感謝する。
 水沢観測所に対し市民は並々ならぬ思いを抱いている。敷地内にある奥州宇宙遊学館は、かつての緯度観測所の本館を活用したものだ。宮沢賢治も天文学が身近に感じられる場所として度々訪れた。一時は老朽化に伴い解体される運命だったが、保存を求める市民運動が起こり、市が譲り受け、若い世代の星空への興味を育てる学習施設にした。
 来年度の予算配分がどうなるのか、市民は注視している。水沢観測所の成果に誇りを持ち、歴史や文化として守ろうとする地元の熱意をないがしろにしないでほしい。


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