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読売新聞/2020/8/2 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200801-OYT1T50275/

ストーカー規制/時代に見合う法改正が必要だ

 通信機器の普及に伴いストーカーの手口は巧妙化している。現行法で対処しきれない行為を規制するため、法整備の検討を進める必要がある。
 相手の車に全地球測位システム(GPS)をつけて位置情報を得ることが、ストーカー規制法の禁じる見張りにあたるかどうかが問われた刑事裁判で、最高裁が「見張りにあたらず、罪に問えない」との初判断を示した。
 規制法は、自宅近くなどでの見張り行為を禁じている。判決は見張りについて「一定の場所で被害者の動静を観察する行為」と判断し、GPSを使って遠隔で位置情報を得るだけではストーカー行為に当たらないと結論づけた。
 法律に明記された行為のみを犯罪とする「罪刑法定主義」の原則に沿った判断だ。恣意(しい)的な処罰を防ぐためにも、拡大解釈は認められないということだろう。
 捜査当局はこれまで、GPSによる行動監視を規制法違反で摘発し、有罪が確定した事件も多い。最高裁の判断が示されたことで、捜査は見直しを迫られる。
 留意すべきは、罪に問われないからといって、こうした行為が許容されるわけではないことだ。
 被告の男らは、元交際相手や別居中の妻の車に無断でGPSをつけ、得た位置情報を基に居場所を突き止めるなどしていた。被害者が感じる不安や恐怖は大きく、プライバシーを侵害する悪質な行為であることは間違いない。
 GPSは近年、飛躍的に精度が向上している。加害者は高性能の機器を入手し、被害者の居場所を詳細に把握できるようになった。2000年の法施行当時は、想定していなかった事態である。
 ストーカーを巡っては、被害者が殺害されるなどの深刻な事件が後を絶たない。事件のたびに法の不備が指摘され、2度の改正で大量のメール送信やSNSへの執拗(しつよう)な書き込みが規制対象に加えられ、罰則も強化された。
 GPSによる行動監視は、エスカレートすれば凶悪犯罪につながりかねない。事件を未然に防ぐため、行為自体を規制できるよう法改正すべきではないか。
 昨年摘発されたストーカー事件は約2300件で、被害の相談や通報は7年連続で年間2万件を超えている。警察による積極的な捜査はもちろん、被害者の保護と相談体制の充実が欠かせない。
 医療機関と連携し、加害者にカウンセリングを受けさせる県警もある。こうした根本的な防止策にも力を入れてもらいたい。


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