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読売新聞/2020/5/23 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200522-OYT1T50239/

中国全人代開幕/見直しを迫られる強権路線

 中国は経済成長を原動力に共産党一党支配下で強権統治を進め、米国主導の国際秩序に挑んできた。この路線がコロナ危機で壁にぶつかったことの証左ではないか。
 北京で開幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で、国内総生産(GDP)の成長率目標の提示が見送られた。李克強首相は「経済・貿易の不確実性が非常に高く、発展が予測困難な要因に直面している」と述べた。
 全人代での政府活動報告で成長率目標への言及がなかったのは、極めて異例の事態だ。経済活動をどこまで立て直せるのか、現時点で見通せないのだろう。中国がコロナ禍で受けた打撃の大きさを如実に示している。
 習近平政権は、6%前後の成長を通じて、今年のGDPを10年前の水準から倍増させ、農村の貧困を撲滅するという目標の達成を見込んでいた。来年の共産党創設100年を前に政権基盤を強化する戦略は大きく狂ったと言える。
 李氏は巨額の財政出動で景気の下支えと雇用の安定を図る方針を示した。中国経済の停滞は世界全体に波及する。失業者増を抑え、生産と需要を回復させるためには、包括的な政策が必要だ。
 理解に苦しむのは、この状況下でも軍拡路線を堅持していることだ。今年の国防予算は前年比6・6%増の1兆2680億元(約19兆2000億円)で、過去20年間で10倍あまりに膨らんだ。
 米国との軍事的、経済的対立が激化するなかで、国民の愛国心を鼓舞し、求心力を高めようとする習政権の意図がうかがえる。
 中国は東・南シナ海での挑発的な軍事活動も続けている。中国のコロナ対応を批判したオーストラリアには、大麦への関税を上乗せする措置をとった。
 感染症対策で国際協調が求められるときに、他国との対立を煽(あお)る動きは看過できない。力を背景に自国の主張の受け入れを迫る姿勢は、中国と各国の今後の関係に悪影響を及ぼすのではないか。
 今回の全人代は、当初の予定から2か月半遅れて始まった。中国内の感染が終息していないなかで、例年通りに数千人の地方代表らを首都に集結させた。李氏は「感染対策は大きな戦略的成果を収めている」と自賛した。
 「正常化」を印象づけ、共産党体制が優位であると強調したいのだろう。だが、中国にまず求められるのは、感染症に関する情報を全面的に開示し、各国と協力する立場を打ち出すことである。


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