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読売新聞/2020/2/25 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200224-OYT1T50189/

地方のバス路線/生活の足をどう守っていくか

 地方のバス会社の経営環境が悪化している。住民の大切な「生活の足」をどのように守っていくかが課題である。
 熊本県内の乗り合いバス5社が、共同で経営を行う方針で合意した。会社の垣根を越えて車両や運転手を融通し合い、利用者の少ない不採算路線を維持する狙いがあるという。
 具体的には、乗客の多い市街地の重複路線を整理し、余ったバスを、郊外や過疎地での運行に回す。収益性の高い地区を担当した会社だけが得をすることのないよう、運賃収入をプールして、各社で分配する仕組みも検討する。
 本来、バス会社の共同経営は独占禁止法の不当な取引制限(カルテル)にあたる恐れがある。
 政府は地方の支援策として、バス会社に対するカルテル規制の一部を除外する独禁法の特例法案を今国会にも提出する。
 バス路線は、地方の暮らしを支える重要インフラ(社会基盤)だ。共同経営を促し、サービスの継続を図る方向性は理解できる。
 無論、特例的な措置が適用されるバス会社には、より厳しい経営努力が求められる。将来的な合併も視野に、徹底した合理化を進めねばならない。
 地域での寡占化で競争原理が働かなくなり、利用者の負担増や安易な路線の切り捨てを招かないか。厳しい監視が必要となる。
 過疎地では、バス路線の廃止や減便が進む。長時間勤務や低賃金による運転手不足も深刻だ。
 2017年度、3大都市圏を除く路線バス会社の8割超が赤字経営だった。自治体が多額の補助金で支えるケースは少なくない。
 公共交通の劣化が過疎化を助長し、さらに交通インフラの維持を困難にする。そんな悪循環に歯止めをかけようと、自治体や事業者が取り組む例が増えてきた。
 奈良県では過疎地などの約50系統のバス路線に、収支率や行政の負担額などの指標を設けている。毎年点検し、クリアできない路線は減便などの改善策を講じる。
 それでも維持が難しい場合は、少人数を送迎するコミュニティーバスなどに切り替える。
 高松市では、過疎地から来る複数のバス路線が、中心部で重複する現状を改めるため、郊外で鉄道に乗り換えてもらう仕組みを整備中という。乗り継ぎ運賃の割引制度を活用し、利用を促す。
 交通網の存続は、地方共通の問題だ。先行事例も参考に、地域の実情に合った方策について、官民で知恵を絞ってもらいたい。


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