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読売新聞/2020/2/24 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200223-OYT1T50214/

高齢者の介護/適切なケア体制で虐待を防げ

 高齢者への虐待が深刻化している。適切なケアができる体制作りを進める必要がある。
 中でも見過ごせないのが、特別養護老人ホームなどで働く介護職員による虐待だ。厚生労働省によると、2018年度は621件で過去最多だった。5年で3倍近くになった。
 ぶつかって転ばせる。入浴時に熱いシャワーをかけてやけどをさせる。こうした身体的虐待が6割近くを占める。食べこぼしを嘲笑するような心理的虐待や、世話をしない介護放棄も目立つ。
 被害者の8割以上は認知症の人だ。高齢者を預けている家族には、「施設にお世話になっている」との意識があり、仮に虐待の兆候に気づいても、言い出しにくい。把握された虐待は氷山の一角である可能性は否定できない。
 介護職員の虐待には、知識や技術の不足が影響しているとの指摘がある。高齢者を適切に介護できず、いら立ちを募らせる。何げない言動が高齢者を傷つけ、さらに意図的な虐待に及んでしまう。
 ある介護事業者は「介護現場は負担が重く、職員が定着しにくい。専門的なケアが必要な入所者の世話を経験の浅い職員に頼らざるを得ない」と内情を明かす。
 自治体は介護事業者と協力して研修の体制を強化し、職員の介護技術の向上に努めるべきだ。
 介護職員が自分の感情をコントロールできるようにすることも、虐待の防止には欠かせない。
 介護施設を運営するSOMPOケア(東京)では、憤る感情がこみ上げた時に、深呼吸したり、その場をいったん離れたりして気持ちを落ち着かせる対処法を、職員に繰り返し学ばせている。
 職員からは「落ち着いて対応できるようになった」といった声が聞かれるという。
 多忙な仕事でストレスや悩みを抱える職員は多い。カウンセリング体制を整えることが重要だ。
 一方、家族による高齢者虐待は1万7000件を超えた。息子や夫などの男性介護者が加害者となる事例が6割を占める。加害者の年齢では50代が最も多い。
 男性の場合、家事が苦手で介護の負担が重くなりがちだ。仕事一筋の人生を送ってきた人は、地域の人づき合いが少なく、孤立しやすいとの見方もある。
 家事支援を受けられる介護保険サービスの利用を促す。介護を担う人が集まって、悩み事を気軽に話せるような場をつくる。各自治体には、介護者を孤立させない取り組みが求められる。


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