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河北新報/2020/2/22 8:00
https://www.kahoku.co.jp/editorial/20200222_01.html

大沼の自己破産/商店街再生 喪失感を糧に

 創業320年の老舗百貨店大沼(山形市)が経営再建を断念し、自己破産手続きの開始決定を受けて約1カ月、地元では今も多くの人々が「大事な買い物と言えば、いつも大沼。特別な店だったのに」と残念がるのを耳にする。市民が抱いている喪失感の大きさが伝わってくる。
 県や市など関係機関はこの間、解雇された従業員の再就職支援やテナント業者への空き店舗紹介など直面する課題への対応に追われてきたが、そろそろ抜本的な見直しが避けられない中心市街地の再生に関する議論にも取り掛からなければなるまい。
 失ったものの大きさを嘆くことは、ともすると後ろ向きで非生産的な行為と見なされがちだ。しかし、今回の「大沼ロス」とでも呼べそうな喪失感を分析することは、市民が中心部の商店街に求める役割や機能を探ることにもつながるのではないだろうか。
 創業家から経営権を譲り受けた投資ファンドによる不透明な資金の流れが表面化し、再生計画の実現が危ぶまれた昨年2月、山形市の佐藤孝弘市長は記者会見で「いま私たちにできることは応援すること、買い支えることだ」と市民に呼び掛けた。
 自治体トップが特定の商業者に肩入れする姿勢はやや奇異に感じられたが、市民らの反応はおおむね好意的で、その後しばらくは週末を中心に買い物客が増えた。
 記者会見場に掲げられた「山形から百貨店の灯を消すな!」というパネルの訴えが、多くの市民の共感を呼んだとの見方が強い。
 帝国データバンクの調査によると、山形県内には業歴100年以上の老舗企業が741社あり、「100年企業」の占める割合は京都府に次いで全国で2番目に高い。業種別では小売りが224社で最も多く、住民のニーズに堅実に応えながら地域の支持を集めていることがうかがえる。
 買い支えの実効性はともかく、「灯を消すな!」という訴えは、地元の老舗を大切にする山形の人々の胸にとりわけ強く響いたに違いない。
 吉村美栄子知事は1月28日の定例会見で「多少値が張ったとしても地域の店を大事にしていく気持ちが大切。その気持ちがなくなってしまうと地域創生は難しい」と持論を展開。その上で「小学生の頃、母に連れられて屋上遊園地で遊んだ」と思い出話も披露し、買い物の場としてだけでなく、家族と過ごした時間の貴さにも言及した。
 吉村知事のみならず、子供のランドセルや中学、高校の制服の購入など、大沼を巡って家族の思い出を懐かしそうに語る人は多い。
 地域に根差す老舗として支持されること、家族の物語に欠かせぬ脇役であり続けること。再生を目指す山形市の中心商店街は、「大沼ロス」の正体から多くのことを学べるのではなかろうか。


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