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読売新聞/2020/2/22 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200221-OYT1T50206/

無断キャンセル/無責任がもたらす大きな損害

 飲食店を予約しておきながら、無断でキャンセルするケースが後を絶たない。客の無責任な行動が、大きな経済損失を生んでいることを深刻に捉えるべきだ。
 経済産業省の試算では、飲食店業界の損失が年2000億円に上るという。無断キャンセルは予約件数全体の1%だが、飲食店は売り上げに対する利益が少ない店が多いだけに、打撃は大きい。
 常連客を断って、座敷にコース料理を並べたのに、予約客は現れず連絡も取れない。他の客も入れられず、料理が無駄になる。
 経済的な損失を埋めるため、店側が値上げするようなら、一般の消費者も迷惑を被りかねない。
 無断キャンセルの背景には、インターネットの予約サイトの普及がある。手軽になった反面、とりあえず予約だけしてそのまま放置する事例も少なくない。30歳代以下の世代に目立つ。
 ある予約サイトは、前日になると予約客に再確認の自動メールを送っている。同じ人が同時刻の予約を複数の店に入れた場合、店側に知らせる仕組みを導入すべきだと提案する専門家もいる。こうしたシステム上の工夫は有効だ。
 店側にも努力が求められる。高額の予約客に、事前決済やクレジットカードの登録を要請するなど自衛策を講じている店がある。
 店に連絡がつかないままキャンセルになる事態を防ぐため、客からの電話を常時受けられるようにしておくことも大切だろう。
 宿泊施設や新幹線、飛行機などを予約する際には、キャンセル料が発生することが約款などで明示されている。一方で、飲食店の場合はこうした明示があいまいなことが多く、客側がキャンセルを軽く考えがちな面は否めない。
 民法上は、電話であれ、ネットであれ、予約すれば契約が成立すると解される。一方的なキャンセルは、損害賠償請求の対象となることに改めて留意したい。
 東京や大阪では、弁護士の事務所が、店側の依頼を受けて無断キャンセルの客に賠償金を請求する取り組みを始めている。安易な予約放置に歯止めをかける上で、一定の効果が期待されよう。
 新型肺炎の影響で、不要不急の外出を控える動きが出ている。やむなく宴会の予約をキャンセルする人もいるに違いない。
 その際には、飲食店に一本の電話を忘れないようにしたい。店側は仕入れを控えるなどの対応を取れるようになり、経営への打撃を和らげることにつながろう。


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