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朝日新聞/2020/2/19 6:00
http://www.asahi.com/articles/DA3S14370603.html?iref=editorial_backnumber

検察官の定年/検討の過程/文書で示せ

 法にのっとって当然作成されているはずの公文書を示しながら、国民に丁寧に経緯を説明する。その義務が森雅子法相、そして安倍政権にはある。
 東京高検検事長の定年延長問題である。政府側の答弁は極めてわかりにくく、迷走の末、つじつま合わせに終始していると言わざるを得ない。
 検察官の定年年齢は検察庁法に明記されている。それなのになぜ延長できるのか。この疑問に、森法相は当初、国家公務員法に延長規定があるので、それを適用したと解説していた。
 だがその条文を審議した81年の国会で、政府が「検察官には適用されない」と述べていたことが、今月10日に判明した。法相から納得できる説明がないまま、安倍首相は13日になって、「今般、適用されると解釈することとした」と答弁した。
 では「今般」とはいつか。
 17日の衆院予算委員会で尋ねられた法相は、「国家公務員一般の定年引き上げに関する検討が昨年から行われている」としたうえで、検察官の定年延長を「政府内で是としたのは本年1月」と述べた。検事長の定年が2月7日に迫る中での異例の措置だったことが確認された。
 しかもこの質問に法相は答えようとせず、5回繰り返し聞かれてようやく明らかにした。
 検察官は起訴、不起訴の決定をはじめ、強大な権限をもつ。その職務と責任の特殊性に鑑みて、検察庁法は特別に定年規定を設けている。延長が必要だというのならば、同法の改正案を国会に提出して審議を仰ぐのが当然の理ではないか。
 昨年から今年1月まで、法務省及び政府内部で、いつ、誰が、どんな検討をしたのか。81年の政府答弁をどう理解したのか。法改正でなく解釈変更でいくと、誰が、いかなる理由で判断したのか。異論はなかったのか。国会での説明が不可欠だ。
 公文書管理法は、行政機関の意思決定に至る過程を合理的に跡づけ、検証できるように、文書を作成しなければならないと定める。そして政府のガイドラインは、法律の解釈や閣議に諮った案件の関連文書は30年間保存すると明記している。
 森友・加計問題を反省して政府は襟を正したはずだ。問われているのは、検察官の身分に関わる重大な法解釈である。正確で詳細な記録が法務省に残されていなければおかしいし、法相が「相談した」という内閣法制局や人事院も同様である。
 不可解な定年延長は、検察に求められる中立・公平への疑念を呼び起こし、「法の支配」への理解を欠く政権への不信を一層深めている。このまま放置することは到底許されない。


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