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読売新聞/2020/2/19 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200218-OYT1T50315/

北方領土交渉/誠実さを欠くロシアの姿勢

 北方領土交渉の打開に向け、政府はロシアの出方を見極め、戦略的に取り組まねばならない。
 茂木外相がロシアのラブロフ外相とドイツで会談し、領土問題を含む平和条約について協議した。ラブロフ氏の来日を調整する方針を確認した。
 安倍首相とプーチン大統領は一昨年、歯舞群島と色丹島を引き渡すと明記した日ソ共同宣言を交渉の基礎とすることで合意した。
 だが、ロシア側が頑(かたく)なな姿勢に転じ、交渉は膠着(こうちゃく)状態に陥った。領土返還に反対するロシア国内の世論の高まりが背景にある。
 見過ごせないのは、ロシアの憲法を改正し、「領土割譲の禁止」を盛り込む議論が起きていることだ。今月、憲法改正に関する作業部会のメンバーの提案に、プーチン氏が賛同したという。
 両国間で積み重ねてきた合意を反故(ほご)にするのであれば、あまりに不誠実ではないか。強行すれば日露関係は決定的に悪化しよう。
 茂木氏は、外相会談でこの問題を取り上げたと表明したが、やり取りの詳細は明かさなかった。
 憲法改正は、今春にも予定されている。政府はロシアに真意をただし、平和条約交渉に支障を来すような憲法改正はやめるよう、毅然(きぜん)として主張すべきである。
 両政府は、北方4島で想定する共同経済活動を進展させる方針では一致している。
 昨年は試行的に観光ツアーが行われ、日本人が国後、択捉両島を訪れた。様々な事業の本格実施に向け、両国の法的立場を害さない制度の検討を急ぐ必要がある。
 日露間では、首脳合意に基づく経済協力が具体化しつつある。極東のハバロフスクでは、医療診断の施設整備に日本企業が貢献している。シベリアやサハリンで液化天然ガスを生産する事業への日本企業の参画も進む。
 クリミア併合で欧米の経済制裁を受けるロシアには、日本からの投資拡大に期待する声が多い。
 政府には、日露関係を多面的に発展させ、領土問題の前進につなげる狙いがある。経済協力だけが進み、領土問題が置き去りにされることがないよう、注意を払うことが求められる。
 米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約が失効し、米国は、アジアへのミサイル配備を検討している。ロシアは、返還した島に米軍が基地を置くことを警戒する。
 自衛隊とロシア軍の共同訓練や、人的交流を地道に重ねて、日露間の安全保障分野での信頼を醸成することが大切だ。


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