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朝日新聞/2020/1/14 6:00
http://www.asahi.com/articles/DA3S14325901.html?iref=editorial_backnumber

動きだすパリ協定/「気候危機」克服の設計図を

 パリ協定の最初の年が始まった。この新たな国際ルールのもと、世界は気候変動に立ち向かうことになる。
 いま、二酸化炭素(CO2)の排出量や濃度は過去最悪のレベルで、異常気象や自然災害も相次いでいる。もはや「気候危機」といっていい。
 産業革命前からの気温上昇はすでに1度に達している。これを2度未満、できれば1・5度に抑えるというパリ協定の目標を達成するには、CO2排出をできるだけ早く実質ゼロにしなければならない。
 大胆な変革に踏み出す、という決意を新たにしよう。

 ■自治体と企業の試み
 環境省の大臣室に、大きな日本地図が掲げてある。東北から九州まで、赤いシールが33カ所。「2050年までにCO2の排出を実質ゼロにする」と宣言した自治体だ。
 それぞれの自治体では、具体策が動き出している。
 横浜市は昨年、東北の12市町村で発電される再生可能エネルギーによる電気を、市内の企業や住宅に供給する連携協定を結んだ。すでに一部で運用を始めている。市内だけでは太陽光や風力による発電量が限られるため、再エネ資源の豊富な東北に目を向けた。
 30年までに乗用車の新車販売の半数を排出ゼロ車にする(東京都)、公共交通や自転車の利用を広げて「歩くまち」をつくる(京都市)など、地域ごとに取り組みはさまざまだ。
 33自治体の人口は計4900万人、域内総生産は250兆円にものぼる。日本の脱炭素化に向けて、大きな力となるのは間違いない。
 一方、脱炭素を旗印に掲げる企業も増えている。
 再エネだけですべての事業をまかなおうという国際的な企業連合「RE100」には、日本から30社が参加する。パリ協定に沿った科学的な削減目標「SBT」をもっていると国際的に認定された321社のうち59社は日本企業だ。

 ■脱炭素へ遠い道のり
 対応を急がねば、消費者にも投資家にも見放される。そんな危機感が企業を動かしている。
 大和ハウス工業は昨年夏、千葉県船橋市で再エネ100%のまちづくりを始めた。分譲マンションや戸建て住宅、商業施設など地区内の電気すべてを、自社でもつ水力発電などでまかなう。建設の段階から再エネ以外は使わない徹底ぶりだ。
 輸送時のCO2排出を抑えるため容器包装を軽量化する(食品)▽全国の店舗の屋上に太陽光パネルを設置する(流通)▽製造過程で出るバイオガスを燃料にする(飲料)……。業種ごとに知恵を絞っている。
 脱炭素に力を入れる企業の取引先が対応を迫られる例も少なくない。変革が変革を呼ぶ好循環が広がり始めている。
 18年度の日本の温室効果ガス排出量は前年度比3・6%減だった。直近5年連続の排出減は、G20では日本と英国だけだ。自治体や企業による「脱炭素の芽」が大きく育てば、減少傾向は今後も続くだろう。
 だが、それでもまだ実質排出ゼロにはほど遠い。政治のリーダーシップで脱炭素化を広げ、加速させないといけない。
 たとえば欧州連合(EU)は先月、「50年までの実質排出ゼロ」という目標に合意した(ポーランドを除く)。各国の事情の違いを超え、首脳らが気候危機の深刻さを共有したのだ。

 ■「芽」を大きく育てる
 残念ながら、安倍政権にそこまでの危機感はない。
 政府が昨年まとめた地球温暖化対策の長期戦略は「実質排出ゼロをめざす」とうたうが、時期は「今世紀の後半できるだけ早期」とあいまいだ。CO2の排出が多い石炭火力についても「依存度を可能な限り引き下げる」としながら、今後も使い続ける方針を変えていない。
 明確に軸を動かせないのは、排出量の多い一部の業界が対策の強化に反対しており、官邸や経済産業省などがそうした声に重きを置いているからだ。
 このままでは、社会と経済を大胆に変革することは難しい。政府が気候危機に本気で立ち向かう姿勢を示し、自治体や企業に思い切った投資を促す。そうしてこそ、「脱炭素の芽」を大きく育てることができる。
 各国は今年、パリ協定に基づいて国別の削減目標を再提出する。その際、目標を引き上げるようグテーレス国連事務総長は求めている。日本が「50年ゼロ」や「脱石炭」などの対策強化を打ち出す好機だ。
 折しも政府は間もなく、エネルギー基本計画の改定に向けて議論を始める。対策強化に踏み出すには、想定する電源構成の大胆な見直しが前提となる。
 石炭全廃の時期を決め、石炭火力の割合を段階的に減らしていく。古い原発を引退させ、太陽光や風力などに置き換えていく。そのために再エネの目標を大きく引き上げる――。
 パリ協定の時代、日本に必要なのは、そんな設計図である。


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