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読売新聞/2019/12/3 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20191202-OYT1T50252/

冷戦終結30年/国際秩序をどう立て直すか

 30年前に勝利を謳歌(おうか)した米欧の自由・民主主義が中国やロシアの挑戦を受け、試練の時を迎えている。新たな冷戦の進行を防ぎ、安定した国際秩序を築き直す必要がある。
 米国とソ連の首脳が地中海のマルタで会談し、冷戦終結を宣言してから3日で30年となる。
 ソ連の解体と東欧諸国の民主化により、共産主義陣営は崩壊した。だが、「西側陣営の価値観と繁栄が拡大していく」という当時の高揚感は、今は見る影もない。
 米国が圧倒的な軍事力と経済力を持ち、唯一の超大国として世界の安定と成長を牽引(けんいん)する。この構図の揺らぎが要因と言える。
 冷戦下で封じ込められていた民族紛争や宗教間対立が噴出し、国際テロ組織による米同時テロが起きた。米国はアフガニスタンやイラクで対テロ戦争を行い、多大な戦費と人的犠牲を強いられた。
 米国では、厭戦(えんせん)気分が広がり、「世界の警察官」の役割を果たすことに懐疑的な人が増えている。米国第一主義のトランプ大統領が交代しても、この内向きの流れは止まらないのではないか。
 日本や欧州などの同盟国は、米国の力の陰りに適切に対処することが求められる。米国の負担が重すぎる部分があれば、応分の責任を果たさねばなるまい。
 中国は冷戦後、経済のグローバル化に乗って高成長を遂げた。習近平政権は、米国と並ぶ大国になることを目指す。その統治・発展モデルには問題が多い。
 中国政府の国有企業優遇で、市場の公正さが歪(ゆが)められた。不透明な軍備増強と海洋進出は、近隣諸国への脅威となる。国民を監視・統制する「中国モデル」は、アジアやアフリカに広がり始めた。
 トランプ政権は中国を「現状変更勢力」とみなす。相反する価値観を持つ国が米国の権益を侵すことへの危機感の表れだろう。
 貿易、安全保障から人権問題まで、米中が幅広い分野で対立する現状は「新冷戦」とも称される。両国の首脳が大国の責任を自覚し、軍事衝突の回避と信頼醸成に努めることが欠かせない。
 ロシアへの対処も課題だ。プーチン政権はウクライナのクリミア併合などで東欧の安全を脅かし、米国と敵対する。冷戦時代から継承されてきた米露の核軍縮の枠組みは崩壊の危機に瀕(ひん)している。
 情勢の安定化には、米露の軍縮体制に中国を引き入れ、再構築することが重要だ。日欧などの関係国は、米中露3か国に取り組みを促していかなければならない。


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