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読売新聞/2019/11/8 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20191107-OYT1T50261/

台風の復旧策/ニーズ把握し生活基盤再建を

 被災者が生活を立て直せるよう、政府は包括的な支援策を着実に講じることが大切である。
 台風19号などの被害を受け、政府が対策のパッケージをまとめた。住宅が浸水した住民や農家への支援、中小企業への補助などが柱だ。財源は今年度予算の予備費1300億円を充てる。8日の閣議で決定する。
 台風19号と21号の大雨では、東北や関東、甲信越地方で約7万棟が床上・床下浸水に見舞われた。避難所で生活する人は今も2800人にのぼる。まずは住宅の復旧を急がなければならない。
 浸水被害に対し、政府は最大で、300万円の支援金や、約60万円の応急修理費を支給している。9月の台風15号では、支援の対象外だった「一部損壊」を応急修理の対象に含めて、助成した。
 今回、19号やその後の豪雨災害でも、同様の措置を取ることを決めた。地震による損害と違い、水害では全壊には至らないケースが多い。そうした実態を踏まえれば、支援の対象拡大は妥当だ。
 当面は、仮設や応急的な住まいを確保することも欠かせない。被災者のニーズに応じ、生活基盤の再建に取り組む必要がある。
 中小企業に対する手厚い支援態勢を打ち出したのも特徴だ。宮城、福島、栃木、長野の4県では、東日本大震災を機に設けたグループ補助金の活用を認める。
 複数の企業が、共同で地域の復興に携わることを前提に、国が工場などの建物や、生産設備の復旧費用の4分の3を支援する仕組みだ。震災時にも、倒産を防ぐ一定の効果があったという。
 長野市の工業団地は千曲川の氾濫で浸水し、多くの部品メーカーが操業停止に追い込まれた。部品の供給網が途絶えれば、経済全体に悪影響が及ぶ。被災地の産業復興を効果的に後押ししたい。
 リンゴや桃などの果樹や、稲作農家も深刻な被害を受けた。果樹の植え替えの支援や、農業用機械の補助など営農再開に向けて多角的に援助する必要がある。
 地球温暖化の影響で記録的な豪雨が続き、多くの河川の堤防が決壊した。災害に強い国土造りを計画的に進めることが重要だ。
 政府は昨年、2020年度までの防災・減災計画を決定した。堤防やダムの強化など治水対策が柱で、総額7兆円規模の事業だ。
 自民党は国土強(きょう)靱(じん)化を唱え、計画の拡充を求めている。
 政府は、財政の制約や事業の優先順位を考えながら、インフラ整備の議論を進めていくべきだ。


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