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読売新聞/2019/9/11 6:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190910-OYT1T50313/

英離脱延期法/EUと真摯に妥協点を探れ

 欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」は回避する。英議会の意思は明確である。ジョンソン首相は離脱優先の姿勢を改め、EUとの妥協点を真摯(しんし)に探らねばならない。
 英議会は、最大野党・労働党が主導して、離脱を延期するための法案を成立させた。EUと離脱条件で合意できない場合、10月末の離脱期限を3か月延長することをEU側に要請するよう、首相に義務づける内容だ。
 ジョンソン氏は、合意の有無にかかわらず10月末に離脱を実現すると繰り返し表明してきた。延期法成立は痛手だろう。
 野党に対抗して、ジョンソン氏は10月中の解散・総選挙を求める動議を提出した。民意を盾に延期法を骨抜きにする狙いだったが、野党が棄権したため、否決された。解散には、下院議員の3分の2以上の賛成が条件となっている。
 議会は10月半ばまで閉会する。離脱期限前の総選挙は事実上、困難となり、離脱戦略は練り直しを余儀なくされた形だ。
 解散動議が否決された後も、ジョンソン氏が「離脱期限を延期することは絶対ない」と強弁しているのは疑問だ。議会の決定を重く受け止めねばならない。
 ジョンソン政権の足元は揺らいでいる。法案の採決にあたり、与党・保守党から造反する議員が相次いだ。重鎮を含む21人が除名され、与党の議席数は半数を大きく割り込んだ。閣僚が辞任するなど混乱が広がっている。
 幅広い人材を擁し、現実的な政策を進めるのが保守党の伝統だ。対EU強硬派の台頭で、包容力が失われつつあるのではないか。
 離脱交渉では、英領北アイルランドとアイルランドの国境管理問題が焦点となる。
 自由往来を維持するため、メイ前政権は離脱協定案に、新たなルールが決まるまでEUの関税同盟にとどまる条項を盛り込んだ。ジョンソン氏はこの削除を求め、EUと折り合いがついていない。
 メルケル独首相は英国が代替案を提示するよう促している。これに応じて交渉を始動させることが、ジョンソン政権の責務だ。
 「合意なき離脱」は、英国とEUの双方に混乱と、多大な経済的な損失をもたらす。世界経済への悪影響も避けられない。
 EUは、英国からの提案があれば、前向きに協議することが求められる。残り1か月余りで一致点を見いだすのは容易ではない。3か月の延長要請を受け入れることも考慮する必要がある。


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