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西日本新聞/2019/5/5 12:00
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/507794

こどもの幸せ/大人の責任を自覚したい

 子どもの権利擁護の先進国、スウェーデンでも、「ムチを惜しむと子どもは駄目になる」という考えがあったという。これは、そんな時代の話である。
 若い母親が、いけないことをした幼い息子にこう言い付けた。「ムチになる枝を探しておいで」。森から戻った息子の手には石が握られていた。「枝は見つからなかったけど、投げ付ける石はあったよ」。涙ながらに語る息子の姿に、母親は暴力に頼るしつけのむごさを思い知った。戒めとして、台所の棚にその石を置いたという。
 名作「長くつ下のピッピ」で知られるスウェーデンの児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンさんが1978年、「暴力は絶対だめ」と題したスピーチの中で語ったエピソードである。翌年、家庭内も含め、子どもへの体罰などを禁じる法律ができた。世界初という。
 同様の法を整備する国は増え続け、50カ国を超える。日本でもようやく実現しそうだ。親の体罰を禁じる法改正の国会審議が、連休明けから始まる。 成熟した民主主義の国が目指すべきは、すべての子どもを暴力や飢えから遠ざけ、十分な教育の機会を保障する社会である。多くの児童文学が繰り返し描いてきた、子どもが伸びやかに躍動する世界と言えよう。
 さて、現代の日本はどうか。
 全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は増え続け、2017年度に13万件を突破した。一定水準以下の所得で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は、15年時点で13・9%と、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均を上回った。
 陰湿ないじめが横行し、自殺に追い込まれる児童生徒は後を絶たない。不登校やいじめがきっかけとなり、長く家にひきこもってしまう子もいる。
 すべての大人が痛ましい現実を直視し、手を差し伸べる方策をしっかりと考えたい。
 リンドグレーンさんはスピーチでこうも語っている。
 子どもが、連帯意識を持つ力を備えた心の温かい人間になるのかどうかは、この世界で子どもを受け入れる人たちが愛情がどんなものかを教えるかどうかで決まる-。無論、親だけに向けられたメッセージではない。
 30年前に国連で採択された「子どもの権利条約」は、子どもを一人の人間として尊重し、必要な保護や配慮を権利として保障することをうたっている。
 いじめや虐待を受けた子どもの涙を、あらゆる暴力の根絶を訴える「戒めの石」として胸の中に据えよう。子どもの権利を守るのは、大人の責任である。令和最初の「こどもの日」に、その自覚を新たにしたい。


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