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中國新聞/2019/4/29 10:00
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=529073&comment_sub_id=0&category_id=142

令和の課題・科学研究/支える大学を立て直せ

 30年余り続いた「平成」も、あと2日を残すだけになった。
 この間、自然科学系のノーベル賞を受賞した日本人は米国籍取得者を含めて18人に上る。21世紀に限ると17人で、米国に次いで2番目に多い。ほぼ毎年選ばれている計算になる。
 「50年間にノーベル賞受賞者30人程度を輩出する」。1995年に成立した科学技術基本法に基づき、2001年度に政府が策定した科学技術基本計画では、そんな壮大な目標を明記していた。達成に向けて、順調にスタートしたと言えそうだ。
 ただ、評価された研究の多くは90年代までのものだ。今後も受賞者が相次ぎ生まれるのか、先行きは決して明るくない。
 科学研究を支える大学、特に国立大の研究・人材育成機能がボロボロになっているからだ。背景には、今年春で丸15年になった法人化がある。この間、政府は国立大への運営費交付金を1割以上も削減した。大学が比較的自由に使える資金の減少で人件費が抑制され、任期付きのポストが増加、安定して研究できる若手が少なくなっている。
 政府は一方で、見込んだ分野には研究費を重点配分する「選択と集中」政策を推し進めた。選ばれれば「競争的資金」が集中して得られるが、残りの多くの分野への配分は薄まった。
 大学教員は、競争的資金を得るための書類の準備に追われ、肝心の研究時間を削らざるを得ない。仮に資金を得ても期限があり、それまでに成果を出さなければならない。データの改ざんや盗用など不正の温床になってはいないか。
 環境の厳しさは、文部科学省が今月発表した、研究に従事する人たちの意識調査でも明らかだ。2年前の前回調査に比べ、経費や時間、人材などの面で基礎研究の状況は悪化したとの認識が広がっている。
 「基礎研究は全ての分野・レベルで急速に衰退しつつある」「目の前の研究費獲得が最大の目標となっている現状では、将来を見据えた研究成果は出にくい」…。いかに切実か、現場の声から浮かび上がってくる。
 危機的な状況を打開しようとノーベル化学賞を受賞した白川英樹筑波大名誉教授や物理学賞の梶田隆章東京大宇宙線研究所長らが立ち上がった。「大学の危機をのりこえ、明日を拓(ひら)くフォーラム」を2月に設立し、160人を超す賛同者を集めた。シンポジウム開催などで問題の早期解決を広く訴えている。
 文科省も重い腰を上げた。低下した研究力を回復させる方策を先週公表した。しかし具体策は乏しい。必要な予算を確保できるか疑問だ。掛け声だけの対策をまとめても科学研究や大学の先細りは食い止められまい。
 日本の科学研究は失速していると、英科学誌ネイチャーが指摘したのは2年前だ。論文の本数が減り、質も低下しているのは、政府が研究開発への支出を手控えた状況の反映だとまで分析していた。にもかかわらず事実上放置してきたのは政府であり、その責任は重い。
 科学技術は、わが国と人類社会の発展の基盤である—。そう科学技術基本法が示している。成果や利益は、研究そのものの目的ではないことを政府は再認識し、大学の在り方を含めた科学政策を中長期的視点で抜本的に見直すべき時ではないか。


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