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中國新聞/2019/4/27 6:00
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=528598&comment_sub_id=0&category_id=142

東京・池袋暴走事故/遺族の訴えを忘れまい

 東京・池袋で87歳の男性の乗用車が暴走し、母子が犠牲になった事故から1週間が過ぎた。妻子を失った夫が記者会見し「少しでも不安がある人は運転しないという選択肢を考え、周囲も働き掛け、家族で考えてほしい」と訴えた。
 「これから生きていく意味があるのか」と自問するさなかの会見だっただけに、その言葉は重い。「運転しないという選択肢」のためには、超高齢化社会の日本がどのような仕組みをつくるべきか、真剣に考える契機にしなければならない。
 重大な交通事故と高齢化の間にはどのような関係があるのか。全国で昨年1年間に交通死亡事故は3099件あったが、最も過失の重い「第1当事者」となった75歳以上のドライバーは460人いた。これは件数で全体の14・8%を占め、割合としては過去最高だった。
 中でもハンドルやアクセル、ブレーキ操作などを誤るケースが目立つという。年を取るにつれて、認知機能や反応する能力が衰えていくのは避けようもないのが現実なのだろう。
 警視庁の調べでは、池袋で事故を起こした車には装備の不具合は確認されず、運転席の足元に落下物もなかった。ブレーキ痕がないことから、男性はブレーキではなくアクセルを踏み続けた可能性を否定できない。一連の事故直前に縁石にホイールを接触させていて、これで動転したとみられる。
 現場は繁華街で、事故は人通りの特に多い昼食時間帯に起きた。運転操作のミスや体調不良、気の動転などが重大な事故につながりやすい環境だった。男性は飲酒や薬の服用、持病は確認されていないというが、信号や横断歩道を無視して約150メートルも暴走するとはただごとではない。なぜハンドルを握ってしまったのか。
 今回のような悲劇を繰り返さないためには、免許の自主返納が望ましい。そのためには買い物や通院向けのバスやタクシーを地域ごとに走らせるなど、社会的な取り組みが欠かせない。過疎地だけでなく都市部の団地でもスーパーが撤退するなどして不便が生じており、日本国内全体で考えるべき問題だ。
 日頃からマイカーに乗り合わせるよう誘うなど、近所同士の声の掛け合いも大切にしたい。運転できなくなったら何が困るか聞いて、解決策をともに考える。その上で家族や周囲が返納を迷う高齢者の背中を押す。そうした仕組みや気遣いが、いま求められるのではないか。
 一方、警察庁は有識者による議論を踏まえ、自動ブレーキなどを搭載した「安全運転サポート車」に運転できる車種を限定したり、運転場所を自宅周辺などに絞ったりする「限定条件付き免許」の導入を検討している。2025年には団塊の世代の全員が75歳以上になる。認知機能検査に、こうした規制も加わるのはやむを得まい。
 池袋の事故で妻子を失った夫は会見で、飲酒運転、あおり運転、携帯電話を使用しての運転なども挙げ、思いとどまってほしい、と語った。「交通戦争」と呼ばれた昭和の時代を想起するまでもなく、車は利便性とリスクを併せ持つ「文明の利器」にほかならない。車の安全技術を発展させるとともに、乗る側の意識改革が急がれる。


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